「白内障手術に失敗した」と感じる主な理由と背景、医師側とのギャップ

2025.06.27

白内障手術は日本で年間150万件以上行われており、非常に安全性が高い手術とされています。
しかし、ごく一部の方が「失敗した」「やらなければよかった」と感じることがあります。
ここでは、患者さんが「白内障手術に失敗した」と感じる主な理由と背景、医師側とのギャップについて、わかりやすく丁寧に解説します。

「失敗した」と感じる理由ランキング(よくあるケース)

①【思っていたほどよく見えない】

「手術をすればメガネなしで何でも見えると思っていた」
「逆にまぶしくなって生活しづらい」

🔍 原因の例:

  • 眼内レンズのピント設定がライフスタイルと合っていない

  • 元々の眼病(緑内障・黄斑変性など)が影響している

  • 見え方の期待値が高すぎた(説明不足)

②【光がにじんでまぶしい】(グレア・ハロー)

多焦点レンズを入れた方に多い訴え(個人差があります)です。夜間の運転が怖くなった、LEDライトがつらいなどの感想を訴える方もいらっしゃいます。

ハロー現象による光のにじみの見え方の例
ハロー現象による光のにじみの見え方の例
引用:JSCR 日本白内障学会

🔍 原因の例:

  • 多焦点レンズの構造による光の散乱

  • 瞳孔が大きい人ほど感じやすい

  • 目の表面の乾燥や乱視の影響

③【老眼鏡が必要になった】

「手術をすれば、もう眼鏡はいらないと思っていた」という認識でいると「失敗した」思われる可能性があります。
単焦点レンズでは近くまたは遠くのどちらかにしか焦点が合わないため、眼鏡が必要になるためです。

🔍 原因の例:

  • メガネ不要の誤解(医師の説明不足)

  • レンズ選択の段階で、自分の生活スタイルと合っていなかった

詳しくは単焦点レンズで近くか遠くか、どちらにピントを合わせるべきか?にまとめましたのでご覧ください。

④【ピントが合わない/左右差がある】

両眼で見たときに見え方の違和感が出たり、片眼だけ先に手術したら違和感が強くなったという声もあります。

🔍 原因の例:

  • 片眼のみ手術 → 両眼でのバランスが崩れる

  • 多焦点と単焦点を混在させて違和感

  • モノビジョンに適応できない

⑤【後発白内障が出てきた】

数ヶ月~数年後にまたかすんできて、「手術失敗では?」と思う方もいらっしゃいます。

🔍 正しくは:

  • 後発白内障は珍しくない合併症(20~30%の人に起こる)ですが、レーザー治療(YAGレーザー)で5分程度で治療可能です。

⑥【手術後のトラブル:痛み・異物感・ドライアイ】

「手術後から目がゴロゴロする」「乾く」「チクチクする」と感じる患者さんもいらっしゃいます。

🔍 原因の例:

  • 手術による涙液の変化

  • 点眼薬の刺激

  • 眼表面の炎症(術後の一時的なものが多い)

医師から見た「成功」でも、患者から見れば「失敗」

医学的に「手術は成功」(レンズはきちんと入っている、合併症もない)
でも患者さんは「こんな見え方なら手術しなければよかった」と感じることがあります。
🔍 このギャップが、「失敗した気がする」という気持ちになる原因です。

後悔・失敗を防ぐためのポイント

ポイント

説明

✅ 見え方のゴールを事前に共有 

何を優先するか(近く?遠く?メガネなし?)を医師に伝える 

✅ 多焦点レンズの特性を理解

「夜まぶしい」「コントラストが低い」など特徴あり

✅ 他の目の病気がないか確認

緑内障や黄斑変性があると視力の回復に限界

✅ 手術のリスクと限界を理解

完璧な視力回復を保証する手術ではないこと

まとめ:「失敗」は技術的なミスよりも、見え方の不一致から

白内障手術における「失敗した」と感じる理由の多くは、

➡ 「見えると思っていたのに、思ったように見えない」という期待と現実のギャップから来るものです。

技術的には成功していても、

✔️ ピントの設定
✔️ レンズの種類
✔️ 説明のわかりやすさ

が適切でなければ、結果的に「やらなければよかった」と思うことも。
手術を検討する際は医師にライフスタイルに応じた「こうしたい」を伝えること、見え方について納得のいくまで説明してもらうことが重要です。