白内障を手術しないで治すことはできるか?

2025.06.28

白内障は、水晶体が白く濁って視力が低下する病気です。高齢になるほど多くの方に見られます。
現在、白内障を完全に治す唯一の方法は手術です。ただし、手術を避けたり、できるだけ遅らせたりするための対策はあります。
以下に、「白内障を手術しないで治す」あるいは「手術を遅らせる」ための選択肢を解説します。

1. 白内障の進行を遅らせる方法

紫外線対策

紫外線は白内障の進行因子の一つ。以下を意識しましょう。

  • 外出時は UVカットのサングラスや帽子

  • 晴天だけでなく、曇りの日でも要注意

生活習慣の見直し

  • 喫煙は白内障のリスクを高める

  • 栄養バランスのとれた食事(抗酸化成分:ビタミンC・E、ルテインなど)

  • 糖尿病の管理(高血糖は白内障を進行させる)

白内障進行抑制点眼薬(日本では限定的)

日本では「ピレノキシン(カタリンK)」が使用されますが、進行を遅らせる程度であり、視力を劇的に改善することはできません。

2. 視力補正で対応する(症状が軽い場合)

白内障の初期段階であれば、メガネやコンタクトレンズの調整で視力の改善が可能なこともあります。

例:

  • 水晶体の屈折力変化で近視が進んだ場合、新たな眼鏡で見やすくなる

  • 明るさやコントラストを上げるレンズ(遮光眼鏡など)も有効

3. 手術しない選択はいつまで可能か?

視力が1.0〜0.7程度あり、日常生活に支障がない場合は、手術せず様子を見るのも妥当です。
ただし、進行により視力が0.5以下になると運転免許の更新ができなくなる可能性があります。

4. 手術を避けるべきケースとは?

以下のような場合、慎重な判断が必要です。

  • 他の疾患(心臓病、脳血管障害など)で麻酔のリスクが高い

  • 目に他の重い病気(緑内障、黄斑変性など)があり、手術のメリットが少ない場合

  • 術後に生活の質がかえって落ちる懸念がある(ピントのズレやまぶしさ)

5. 手術を回避するのではなく、「時期を見極める」ことが大事

手術は「いつかは必要になる」ことが多い疾患です。重要なのは、「今手術をするべきか?もう少し様子を見てもいいのか?」という見極めです。

方法

効果

備考

紫外線対策

△ 進行予防

習慣的に行う必要あり

食生活の改善

△ 進行予防

抗酸化物質の摂取が効果的

進行抑制点眼薬 

△ 視力回復効果はなし 

根治は不可

眼鏡などで対応

△ 一時的対応

白内障が進むと限界がある

手術

◎ 唯一の根本治療

成功率は高いが慎重な判断が必要