白内障手術の「術後」について、患者さんが不安に感じやすいポイントを中心に、経過・注意点・見え方の変化・合併症などをわかりやすく解説します。
白内障手術の術後の基本的な流れ
術後期間 |
主な内容・注意点 |
手術直後~当日 |
安静が必要。軽い痛み・異物感・かすみあり |
1週間以内 |
点眼治療継続。視力は日ごとに回復 |
1ヶ月以内 |
視力が安定。見え方の最終評価を行う時期 |
数ヶ月後 |
後発白内障が出ることも(治療可能) |
術後によくある症状(通常の範囲)
症状 |
説明 |
かすみ・ぼやけ |
眼内での炎症やレンズの慣れによる。一時的 |
まぶしさ・にじみ |
「グレア」「ハロー」と呼ばれ、多焦点レンズで出やすい |
乾き目・ゴロゴロ感 |
涙のバランス変化や術中の刺激による。通常は改善する |
軽い充血・異物感 |
傷の治癒にともなう生理的反応 |
👉 ほとんどが一過性で、点眼薬や経過観察で改善します。
術後の生活での注意点(特に1週間以内)
項目 |
注意点 |
洗顔・洗髪 |
目に水が入らないように注意(2~3日間) |
入浴 |
当日から可(湯気はOK)。目をこすらない |
洗眼・点眼 |
指示どおり正しく行う。点眼前は手を洗う |
化粧 |
アイメイクは1~2週間控える |
車の運転 |
視力が安定するまで医師と相談(通常数日後) |
飛行機搭乗 |
特に制限なし(合併症がない限り) |
術後に必要な治療・ケア
薬の種類 |
目的 |
抗菌薬 |
感染予防 |
ステロイド |
炎症を抑える |
非ステロイド抗炎症薬 |
痛み・浮腫予防(特に黄斑浮腫) |
📌 1日3~4回、数週間にわたって継続します。自己判断で中止しないでください。
術後の視力変化とメガネの使用
ピント設定 |
術後の見え方 |
眼鏡の必要性 |
遠くに合わせた場合 |
遠くは裸眼で良く見える |
読書など近くは老眼鏡が必要 |
近くに合わせた場合 |
スマホや本が裸眼で読める |
外出や運転に遠用眼鏡が必要 |
中間に合わせた場合 |
室内が快適、近く・遠くは眼鏡必要なことも |
両用眼鏡が便利なことも |
👓 術後1か月以降に視力が安定してからメガネ処方を行うのが一般的です。
眼内レンズを選ぶ際の度数の決め方は白内障手術の「眼内レンズ」の度数はどうやって決めるのか?をご覧ください。
術後に注意すべき異常・合併症(稀に発生する)
合併症名 |
内容と対応 |
数ヶ月~数年後に再びかすむ。YAGレーザーで治療可能(痛みなし・保険適用) |
|
黄斑浮腫 |
視力低下やゆがみ。点眼・内服治療で改善することが多い |
感染性眼内炎 |
まれだが重篤。強い痛み・視力低下・濁りが出たらすぐ受診 |
眼圧上昇 |
緑内障の既往がある人に起こりやすい。点眼や内服で調整 |
🔴 強い痛み、急な視力低下、白目の強い充血、目やにが増えた場合はすぐに受診を!
術後の通院スケジュール(標準例)
タイミング |
診察内容 |
術後 翌日 |
手術の翌日、合併症の有無や視力の確認 |
術後1週間後 |
回復状況と点眼継続確認 |
術後1か月後 |
視力の安定確認。必要に応じて眼鏡処方 |
術後3か月・6か月 |
(必要に応じて)視力・眼圧・眼底検査など |
🔷 まとめ:白内障手術の術後は「経過を見ながら、焦らず対応」
✅ 多くの人が「視力が明るくなった」「はっきり見えるようになった」と実感
✅ 一部の人では「違和感」「かすみ」「まぶしさ」などが一時的に起こるが、ほとんどは自然回復
✅ 不安な症状があれば、自己判断せず、早めに眼科へ相談