結論から申し上げますと、オルソケラトロジーにおいて過矯正(矯正しすぎ)が原因で近視がさらに進んでしまうという心配は、基本的にはありません。
むしろ、一般的なメガネやコンタクトレンズの過矯正とは「目の奥での光の当たり方」が違うため、近視の進行を抑える効果の方が強いと考えられています。
少し専門的な話になりますが、安心材料として3つのポイントを解説します。
過矯正でも近視が進みにくい3つの理由
1. メガネの過矯正とは「仕組み」が違います
一般的に「メガネの度が強すぎると近視が進む」と言われるのは正しいです。
- メガネの場合: 度が強すぎると、目の焦点が網膜(目の奥のスクリーン)よりも後ろに合ってしまいます。すると、目はピントを合わせようとして眼球を後ろに伸ばそう(眼軸長を伸ばそう)とするため、近視が進みます。
- オルソケラトロジーの場合: レンズの特殊な構造により、中心部分はしっかり見えますが、周辺部分は「近視性デフォーカス」という状態を作ります。これは「眼球の伸び(近視の進行)を抑制するブレーキ」のような信号を出す光の当たり方です。 たとえ中心部分が多少過矯正気味であっても、周辺部分のブレーキ効果が効いているため、近視進行のスイッチは入りにくい構造になっています。
2. あえて「少し強め」に設定することがあります
実は、オルソケラトロジーでは意図的にわずかな過矯正(少し遠視寄り)を目指して処方することが一般的です。
- 理由: オルソケラトロジーの効果は、朝レンズを外してから夜に向かって、少しずつ弱まっていきます(角膜が元の形に戻ろうとするため)。
- 計算: 朝の時点で「ピッタリ(正視)」にしてしまうと、夕方には「少し近視」に戻って見えにくくなってしまいます。
- 対策: そのため、「夕方まで1.0〜1.2を維持するため」に、朝一番は少し強めの見え方になるように設計します。これは計算された安全な範囲の調整ですので、心配ありません。
3. ただし、「眼精疲労」には注意が必要です
近視が進む心配は少ないですが、過矯正が強すぎると別の問題が起きます。
- 手元が見にくい: 老眼のような状態になり、スマホや本を見る時にピントが合わせづらくなります。
- 目の疲れ・頭痛: 常にピント調整の筋肉を使うため、目が疲れたり頭痛が起きたりします。
もし「見えすぎて辛い」と感じたら?
近視が進むわけではありませんが、生活に支障が出るほどの過矯正(頭痛がする、手元が全く見えない)であれば、調整が必要です。
- 対処法: 定期検診で医師に伝えてください。
- レンズのカーブを調整して、矯正量を弱めることができます。
- または、寝る時間を少し短くするなどの指導が入ることもあります。
- 角膜の形は元に戻る性質があるため、レンズを調整すればすぐに過矯正の状態は改善されます。(不可逆的な手術とは違い、ここが大きなメリットです)
まとめ
- 近視進行のリスク: オルソケラトロジーの過矯正で近視が進む心配はほとんどありません。
- 意図的な調整: 夕方の見え方を確保するために、あえて少し強めに矯正するのが普通です。
- 注意点: 近視進行よりも、「目の疲れ」や「手元の見づらさ」が出ないかどうかが重要です。
