ICL(Implantable Collamer Lens)とは?
ICLとは、「有水晶体後房型眼内レンズ(Implantable Collamer Lens)」の略で、近視や乱視などの屈折異常を矯正する眼内レンズ挿入手術です。レーシックと並ぶ視力矯正手術の一種ですが、レーシックとは大きく異なる特徴があります。
1. ICLの特徴
特徴 | 内容 |
眼内レンズを目の中に挿入 | 角膜を削らず、水晶体の前に薄いレンズを挿入して視力を矯正します。 |
取り外し可能 | 将来視力の変化があっても、レンズの交換や取り外しができるのが大きな利点。 |
角膜への負担が少ない | 角膜の形を変えないため、角膜が薄い人でも可能なことがあります。 |
紫外線カット機能あり | ICLレンズにはUVカット機能が備わっています。 |
2. ICLが向いている人
- 高度近視(–6D以上)
- 角膜が薄くてレーシックに不適な人
- ドライアイが強く、レーシック後の乾燥が心配な人
- 将来白内障手術の予定がある可能性のある人
- 角膜形状が不正な人(円錐角膜などは適応外も)
3. ICL手術の流れ(概要)
- 適応検査:角膜厚、前房深度、眼圧、眼底など精密検査
- 手術前処置:レーザーで虹彩に穴を開ける(眼圧上昇を防ぐため)
- 手術当日:点眼麻酔下でレンズを挿入(片眼10〜20分程度)
- 術後管理:点眼、定期的な診察、数日で日常生活可能
4. メリットとデメリット
メリット
- 視力の質(コントラスト感度)が高い
- ドライアイが悪化しにくい
- レンズの交換・取り外しが可能
- 角膜を削らない(レーシック不可の人にも対応)
デメリット・リスク
リスク | 内容 |
白内障の誘発 | レンズが水晶体に接触すると白内障になる可能性あり(特に旧モデル) |
眼内炎や感染症 | 手術なので眼内感染リスクあり(非常に稀) |
虹彩炎や炎症 | 挿入後に一時的な炎症が出ることがある |
眼圧上昇(緑内障) | レンズによる房水の流れの妨げなどで起こる可能性 |
5. ICLとレーシックの比較
項目 | ICL | レーシック |
対応できる近視 | 強度近視も可能 | 軽度〜中等度までが中心 |
角膜への影響 | 削らない | 角膜を削る |
元に戻せるか | レンズの取り外し可 | 戻せない |
ドライアイへの影響 | 少ない | ドライアイを悪化させやすい |
長期安定性 | 非常に高い | 視力変動の可能性あり |
6. 保険と費用(日本)
- 保険適用外(自由診療)
- 両眼で60〜80万円程度が相場(施設・モデルによって差あり)
- 最新型「EVO+ ICL(ホールICL)」は、より安全性が高いとされる
7. まとめ
内容 | ポイント |
ICLとは? | 目の中にレンズを入れて近視や乱視を矯正する手術 |
長所 | 高度近視に対応、角膜に優しい、取り外し可 |
短所 | コストが高い、白内障・緑内障リスクあり |
適応 | 高度近視、角膜薄い人、ドライアイ体質の人 |