糖尿病専門医と眼科が連携して行う
糖尿病治療
糖尿病網膜症とは、糖尿病の合併症のひとつで、網膜の血流が滞り、網膜に障害が生じて視力低下が伴う病気です。進行すると失明に至ることもあるため注意が必要です。当院では、糖尿病専門医と眼科が連携して糖尿病治療にあたっています。
糖尿病と診断されたら、眼科も定期健診を受けるように言われるのは、眼が唯一血管を外から観察できる臓器であるからです。糖尿病の合併症である糖尿病網膜症を発症しないように検査が必要になります。
当院では、眼科と糖尿病内科が併設しているため、万全の協力体制で糖尿病患者様のサポートを行っております。
高血糖状態が続く糖尿病
高血糖状態とは、血液中のぶどう糖が多い状態ですが、膵臓から分泌されるインスリンというホルモン量が減少したり、機能が低下することで血中のぶどう糖が増加してしまいます。この状態を糖尿病と言います。糖尿病は、1型・2型に分類されます。いわゆる、およそ95%以上を占める生活習慣を起因とする糖尿病は2型糖尿病とします。
糖尿病の原因は?
1型糖尿病と2型糖尿病では、それぞれ原因が異なります。1型糖尿病は、若年層によく見られ、インスリンを産出する膵臓のβ細胞が破壊され、高血糖状態が続くことで発症します。一方、2型糖尿病は、主に生活習慣の乱れによってインスリンの分泌量が減少し、または機能低下して引き起こります。2型は、中高年以上の方に多く見られますが、最近では若年層にも発症が見られます。
1型糖尿病
1型糖尿病は、インスリンを生成する膵臓のβ細胞がなんらかの原因で破壊され、インスリンの分泌が低下することで高血糖が常に続くことで発症します。インスリンは、血液から細胞内へぶどう糖を取り込んで、血糖値を下げる働きを担っています。このインスリンの減少によって高血糖状態が続き、糖尿病を引き起こします。
2型糖尿病
2型糖尿病は、主にインスリン作用の不足によって、高血糖状態が慢性的に続くことで発症します。糖尿病全体のおよそ90%を占めるのが、この2型糖尿病です。原因として、食習慣の乱れや運動不足・肥満などの環境因子が挙げられます。
糖尿病は症状なく進行することも
- のどが乾きやすい
- 水をよく飲む
- 頻尿・多尿
- 体重減少
- 眼のかすみ
- 足のむくみ
- 立ちくらみ・意識障害
糖尿病はサイレントキラーと呼ばれるように、症状がほとんどなく病状が進行するのが大きな特徴です。
以上のような症状が気になる場合は、かなり病状が進行している可能性があります。国内では、40歳以上のおよそ3人に1人は糖尿病または糖尿病予備軍であるとされています。
日常生活に支障をきたす糖尿病の合併症
網膜症や脳梗塞など、生活の質に大きな影響を及ぼす合併症を引き起こす恐れがあるため注意が必要です。
糖尿病網膜症・糖尿病腎症・糖尿病神経障害は、糖尿病の3大合併症とされています。いずれも、日常生活・社会生活に大きく支障を及ぼす合併症です。検診などで血糖値の異常を指摘されたら、速やかに医療機関を受診してください。
慢性合併症としては、以下が挙げられます。
最小血管症
網膜症・腎症・神経障害
大血管症
脳梗塞・心筋梗塞・末梢動脈疾患(PAD)・足壊疽
その他
歯周病・感染症など
糖尿病の検査と診断
血液検査にて、随時血糖値、空腹時血糖値、過去1~2ヵ月の血糖値を反映するHbA1cなどを測定します。 また、必要に応じて75g経口ブドウ糖負荷試験を行います。
- 随時血糖値:200㎎/dL以上
- 空腹時血糖値:126㎎/dL以上
- HbA1c:6.5%以上
- 75g経口ブドウ糖負荷試験:2時間値200㎎/dL以上
上記のいずれかに該当した場合、「糖尿病型」と判定します。
別日に改めて検査を行い再度糖尿病型の判定となれば、糖尿病と診断することになります。
※初回検査・再検査のいずれかで、血糖値の基準を満たしている必要があります。
初回検査のみで糖尿病の診断ができるケース
- 血糖値が糖尿病型であり、口の渇き、多飲、多尿、体重減少などの症状が認められる場合には、初回検査のみで糖尿病の診断ができます。
- 血糖値とHbA1cを同時測定し、ともに糖尿病型である場合には、初回検査のみで糖尿病の診断ができます。
75g経口ブドウ糖負荷試験とは
75g経口ブドウ糖負荷試験は、食後の血糖の上昇が著しい一方で、空腹時の血糖値が正常であるような、いわゆる「隠れ糖尿病」の発見に有効な検査です。自覚症状などから、明らかに高血糖が予想されるケースなどでは必要ありません。
主に、以下のような流れで行います。
- 検査日の朝まで10時間以上絶食し、その状態で採血により空腹時血糖値を測定します。
- ブドウ糖液(水にブドウ糖75gを溶かしたもの)を飲みます。
- 30分後、1時間後、2時間後に採血を行い、血糖値を測定します。
- 判定には、空腹時血糖値と、負荷後2時間の血糖値の値を用います。空腹時血糖値が126mg/dl以上あるいは負荷後2時間の血糖値200mg/dl以上のいずれかに該当すれば「糖尿病型」と判定されます。
糖尿病治療
糖尿病の治療は、食事療法と運動療法が基本です。必要に応じて、薬物療法を組み合わせています。適切に治療を進めることで、病状の進行を抑えて、生活の質を長く維持することができます。
食事療法
食事内容の改善と、1日に必要な摂取カロリーをコントロールしていきます。高血圧の方は、併せて減塩に気を付けながら、栄養を考えます。基本的に、食べてはいけないものはありません。当院では、栄養士による栄養相談も実施しています。
運動療法
運動をすることで、糖の消費を良くし、さらに筋肉量を増やすことで糖の吸収を上げます。筋肉量が増えて脂肪が減ることで、インスリンが作用しやすくなります。激しい運動を行う必要はなく、年齢や運動経験に相応した、無理のない適度な運動メニューを提案しています。
薬物療法
食事療法と運動療法を基本に治療を行っても、十分な血糖コントロールができない場合、薬物療法を検討します。血糖を下げる内服薬・インスリンの注射・GLP-1受容体作動薬の投与・インスリンポンプ療法などを行います。