白内障手術は安全性の高い手術ですが、それでも術後にトラブル(合併症や違和感)が起こることはあります。ここでは、よくあるトラブル・症状ごとの原因と対処法をわかりやすく解説します。
目次
白内障手術後に起こることがある【トラブル一覧】
トラブル名(症状) |
発生時期 |
原因 |
対処法・治療法 |
👁 後発白内障 |
数ヶ月~数年後 |
水晶体嚢の濁り |
YAGレーザーで治療(保険適用) |
👁 黄斑浮腫(シスト状浮腫) |
数日~1か月後 |
術後の炎症 |
点眼・内服薬で炎症を抑える |
👁 感染性眼内炎 |
術後数日以内 |
細菌感染 |
すぐ受診。点滴や手術が必要なことも |
👁 眼圧上昇 |
術後すぐ〜1週間程度 |
炎症、眼内薬剤の反応 |
点眼・内服薬でコントロール |
👁 光のにじみ・まぶしさ(グレア・ハロー) |
術後すぐ~継続 |
レンズの構造・瞳孔の状態 |
自然に慣れることが多い。改善しない場合はレンズ交換検討も |
👁 ドライアイ、異物感 |
術後すぐ~数週間 |
涙液バランスの乱れ |
保湿用点眼・まばたき指導など |
よくあるトラブル①:後発白内障(最も多い)
特徴
-
術後数か月~数年後に「またかすんできた」と感じる
-
白内障が再発したと誤解されやすいが、人工レンズの後ろに膜が濁ってくる現象
対処法
-
YAGレーザー治療で5分ほどの処置(痛みなし・保険適用)
-
一度治療すれば再発はほぼなし
よくあるトラブル②:黄斑浮腫(黄斑部のむくみ)
特徴
-
「手術後しばらくして視力がぼやけてきた」「ゆがんで見える」
-
網膜の中心(黄斑)がむくんで起こる
対処法
- 抗炎症薬の点眼・内服・注射
- 多くは数週間~数ヶ月で改善
要注意のトラブル:感染性眼内炎(非常にまれ・緊急対応が必要)
特徴
- 術後1週間以内に、強い痛み・まぶたの腫れ・目やに・急激な視力低下
- まれ(0.05%以下)だが進行すると失明の危険も
対処法
- 緊急で眼科受診
- 抗生剤の注射や手術で治療
📌このような症状が出たら、1分でも早く受診が必要です。
光がにじむ・まぶしい(グレア・ハロー)
特徴
- 夜のライトや街灯が「にじむ」「輪が見える」ように感じる
- 特に多焦点レンズで起こりやすい
ハロー・グレアの見え方の例
引用:JSCR 日本白内障学会
対処法
- 時間とともに脳が慣れる(神経順応)ことが多い
- 慣れない場合はレンズ交換が必要になることも(稀)
術後の眼圧上昇
特徴
- 「目の奥が重い」「頭が痛い」と感じることも
- 緑内障がある人は特に注意が必要
対処法
- 点眼薬や内服薬で調整
- 高眼圧が続く場合は定期的な眼圧チェックが必要
ドライアイ・異物感
特徴
- ゴロゴロ・チクチク・まぶたの違和感
- 一時的な乾燥や術中の刺激が原因
対処法
- 保湿点眼(ヒアルロン酸など)
- あまりに強い場合は涙点プラグなども検討
まとめ:「重大な合併症はまれ」でも「違和感」は一定数にある
症状 |
程度 |
起こりやすさ |
視力の不満足 |
中 |
やや多い |
光のにじみ・ぼやけ |
中 |
多焦点レンズで起きやすい |
後発白内障 |
軽 |
比較的多い |
黄斑浮腫 |
中 |
少数に起きる |
感染性眼内炎 |
重 |
ごくまれ |
✅ 早期発見・早期対処が大切!
「何かおかしい」と思ったら自己判断せず眼科へ
白内障手術後のトラブルは早く対処すれば回復できるケースがほとんどです