白内障

2025.06.28

白内障の手術後のトラブルの種類と対処法

白内障手術は安全性の高い手術ですが、それでも術後にトラブル(合併症や違和感)が起こることはあります。ここでは、よくあるトラブル・症状ごとの原因と対処法をわかりやすく解説します。

白内障手術後に起こることがある【トラブル一覧】

トラブル名(症状)

発生時期

原因

対処法・治療法

👁 後発白内障

数ヶ月~数年後

水晶体嚢の濁り

YAGレーザーで治療(保険適用)

👁 黄斑浮腫(シスト状浮腫)

数日~1か月後

術後の炎症

点眼・内服薬で炎症を抑える

👁 感染性眼内炎

術後数日以内

細菌感染

すぐ受診。点滴や手術が必要なことも

👁 眼圧上昇

術後すぐ〜1週間程度 

炎症、眼内薬剤の反応

点眼・内服薬でコントロール

👁 光のにじみ・まぶしさ(グレア・ハロー) 

術後すぐ~継続

レンズの構造・瞳孔の状態 

自然に慣れることが多い。改善しない場合はレンズ交換検討も

👁 ドライアイ、異物感

術後すぐ~数週間

涙液バランスの乱れ

保湿用点眼・まばたき指導など

よくあるトラブル①:後発白内障(最も多い)

特徴
  • 術後数か月~数年後に「またかすんできた」と感じる

  • 白内障が再発したと誤解されやすいが、人工レンズの後ろに膜が濁ってくる現象

対処法
  • YAGレーザー治療で5分ほどの処置(痛みなし・保険適用)

  • 一度治療すれば再発はほぼなし

 よくあるトラブル②:黄斑浮腫(黄斑部のむくみ)

特徴
  • 「手術後しばらくして視力がぼやけてきた」「ゆがんで見える」

  • 網膜の中心(黄斑)がむくんで起こる

対処法
  • 抗炎症薬の点眼・内服・注射
  • 多くは数週間~数ヶ月で改善

要注意のトラブル:感染性眼内炎(非常にまれ・緊急対応が必要)

特徴
  • 術後1週間以内に、強い痛み・まぶたの腫れ・目やに・急激な視力低下
  • まれ(0.05%以下)だが進行すると失明の危険も
対処法
  • 緊急で眼科受診
  • 抗生剤の注射や手術で治療

📌このような症状が出たら、1分でも早く受診が必要です。

光がにじむ・まぶしい(グレア・ハロー)

特徴
  • 夜のライトや街灯が「にじむ」「輪が見える」ように感じる
  • 特に多焦点レンズで起こりやすい

ハロー・グレアの見え方の例
ハロー現象による光のにじみの見え方の例
引用:
JSCR 日本白内障学会

対処法
  • 時間とともに脳が慣れる(神経順応)ことが多い
  • 慣れない場合はレンズ交換が必要になることも(稀)

術後の眼圧上昇

特徴
  • 「目の奥が重い」「頭が痛い」と感じることも
  • 緑内障がある人は特に注意が必要
対処法
  • 点眼薬や内服薬で調整
  • 高眼圧が続く場合は定期的な眼圧チェックが必要

ドライアイ・異物感

特徴
  • ゴロゴロ・チクチク・まぶたの違和感
  • 一時的な乾燥や術中の刺激が原因
対処法
  • 保湿点眼(ヒアルロン酸など)
  • あまりに強い場合は涙点プラグなども検討

まとめ:「重大な合併症はまれ」でも「違和感」は一定数にある

症状

程度 

起こりやすさ

視力の不満足

やや多い

光のにじみ・ぼやけ 

多焦点レンズで起きやすい 

後発白内障

比較的多い

黄斑浮腫

少数に起きる

感染性眼内炎

ごくまれ

✅ 早期発見・早期対処が大切!
「何かおかしい」と思ったら自己判断せず眼科へ
白内障手術後のトラブルは早く対処すれば回復できるケースがほとんどです