緑内障を併発している場合に早めの白内障手術を勧められることがある理由

2025.07.06

「緑内障があるから早めに白内障手術をした方がいい」と勧められることがあります。では

  • なぜそう言われるのか?
  • どんな場合に当てはまるのか?
  • 注意すべき点?

について整理して解説します。

緑内障と白内障の関係

白内障手術で眼圧が下がることがある

白内障手術で水晶体(厚みのあるレンズ)を取り除くことで、前房(角膜と虹彩の間の空間)が広がり、房水の流れがよくなって眼圧が下がることがあります。
特に以下のような場合に有効です:

  • 閉塞隅角緑内障(狭隅角)

  • 浅前房で隅角(ぐうかく)が狭い人

このようなケースでは、白内障手術が緑内障治療の一環として推奨されることがあります。

早めの白内障手術を勧められる理由

  1. 将来の手術が難しくなる前に行うため
    緑内障が進行すると、視神経が傷つき、視野が狭くなります。白内障が重くなる前に手術することで、手術の安全性を保ちやすくなります。
  2. 隅角を広げて眼圧を下げる効果がある
    上記の通り、房水の排出経路が広がることで眼圧が低下し、緑内障の進行リスクを低減する可能性があります。
  3. 緑内障手術と同時に行うと手術が一回で済む
    白内障がある場合、白内障手術+緑内障手術(MIGSなど)を一緒に行う選択肢もあります。

ただし、注意すべき点もあります

  • 緑内障があると、手術リスクが高まることも
    手術に伴って眼圧が大きく変動すると、視神経にダメージが加わるリスクがあります。
    進行した緑内障の場合、白内障手術によって一時的に見え方が悪くなることもあります。
  • 白内障手術をしても、視野は回復しない
    緑内障で傷んだ視神経は回復しません。白内障による「かすみ」や「まぶしさ」は改善しても、視野欠損そのものは変わらないことを理解しておく必要があります。

適切なタイミングとは?

以下のような場合は「早めの白内障手術」が検討されます:

  • 視力低下やまぶしさが生活に支障をきたしている
  • 緑内障のタイプが閉塞隅角タイプで、隅角が狭い
  • 点眼薬が効きにくく、眼圧コントロールが不安定
  • 視野がまだ残っているうちに手術した方が安全

一方で、「視力も視野も保たれており、白内障の進行も軽度」という場合には慌てて手術する必要はありません。

まとめ

ポイント

説明

緑内障があると

白内障手術で眼圧が下がる可能性がある

特に閉塞隅角型

早期手術が有効なケースがある

進行緑内障では

術後リスクや見え方の変化に注意

判断の基準は

隅角の状態、視力・視野、生活への影響など

主治医と相談して 

手術のタイミングを慎重に見極めることが重要