抗生物質の種類と適応疾患

2025.07.06

抗生物質は、細菌感染症の治療に使われる薬で、多くの種類があり、それぞれ効果を発揮する細菌や適応疾患が異なります。以下に代表的な抗生物質の種類とその適応疾患を一覧で示します。更に詳しくお知りになりたい方は抗生物質の用法・用量についてまとめていますので合わせてご覧ください。

抗生物質の主な分類と適応疾患

分類(系統名)

代表的な薬剤

主な適応疾患

特徴

ペニシリン系

アモキシシリン(AMPC)、アンピシリン

咽頭炎、扁桃炎、中耳炎、肺炎、梅毒など

古くから使われている。細胞壁合成阻害。

セフェム系

セフカペン ピボキシル、セフジトレン ピボキシル、セフメタゾール

呼吸器感染症、尿路感染症、皮膚感染症など

第1〜4世代まであり、広いスペクトラム。

マクロライド系

クラリスロマイシン、アジスロマイシン、エリスロマイシン

マイコプラズマ肺炎、咽頭炎、百日咳、クラミジア感染症

細胞内寄生菌にも有効。ペニシリンアレルギーでも使用可。

ニューキノロン系

レボフロキサシン、シプロフロキサシン、ガチフロキサシン

尿路感染症、腸炎、呼吸器感染症、眼科感染症

幅広い抗菌スペクトラム。耐性菌が問題になることも。

テトラサイクリン系

ミノサイクリン、ドキシサイクリン

ニキビ、クラミジア、リケッチア、肺炎、ピロリ菌除菌

小児・妊婦には原則禁忌(歯の着色や骨発育障害)。

アミノグリコシド系

ゲンタマイシン、アミカシン

敗血症、重症感染症、結核補助薬

静注・点滴が主。腎毒性・耳毒性に注意。

カルバペネム系

メロペネム、イミペネム

重篤な感染症、耐性菌感染症

非常に広範囲に作用。多剤耐性菌にも使用。

リンコマイシン系

クリンダマイシン

歯科感染症、骨髄炎、扁桃周囲膿瘍など

嫌気性菌にも有効。偽膜性大腸炎に注意。

グリコペプチド系

バンコマイシン、テイコプラニン

MRSA感染症

重症感染症で使用。耳・腎毒性あり。

オキサゾリジノン系

リネゾリド

MRSA、VREなどの耐性菌

新しい系統。経口も可能なMRSA治療薬。

特殊な抗生物質とその適応

分類

代表薬

適応疾患

特記事項

抗結核薬

イソニアジド、リファンピシン、エタンブトール 

結核

併用療法が基本。耐性予防のため単剤使用不可。

抗らい薬

ダプソン、クロファジミン

ハンセン病(らい病)

特殊な抗菌薬。感染力は弱いが長期治療が必要。 

抗マイコバクテリウム薬

クラリスロマイシン、エタンブトール

非結核性抗酸菌症(MACなど)

耐性菌対策として複数併用が一般的。

抗生物質使用時の注意点

    • ウイルス感染(風邪、インフルエンザなど)には効果なし
    • 耐性菌の出現を防ぐため、処方通りに最後まで飲み切ることが重要
    • 副作用(下痢、発疹、アレルギー反応など)にも注意
    • 妊婦・授乳中・小児では選択に注意が必要な薬も多い