バセドウ病と目の症状(甲状腺眼症)

2025.08.06

どんな病気?

甲状腺ホルモンの異常によって、目のまわりの組織(筋肉や脂肪)が腫れて炎症を起こす病気です。
甲状腺機能が落ち着いても、目の症状だけが続くこともあります。

よくある目の症状

症状

説明

👁️ 目が出てくる(眼球突出)

目の奥の組織が腫れることで眼球が前に押し出される 

👀 目が乾く/ごろごろする

まぶたが閉じにくくなり、角膜が乾く

👁️ まぶたがつり上がる(上眼瞼後退) 

黒目の上が見えすぎるような状態に

👀 まぶたの腫れ・むくみ

特に朝に目立つことが多い

👁️ 物が二重に見える(複視)

目を動かす筋肉が腫れ、両眼の動きがズレるため

👀 視力低下・かすみ

神経が圧迫されると視神経障害に進む可能性も

原因

    • 自己免疫によって、甲状腺と目の組織の両方が誤って攻撃される
    • 喫煙は、発症や悪化の最大の危険因子です(特に眼症状)

検査

検査

内容

眼球突出の計測

専用スケールで突出の程度を測定

眼球運動検査

目の動きと複視の有無を確認

視力・視野検査

視神経圧迫の有無を調べる

眼科的画像検査(MRI/CT) 

眼窩(目の奥)の筋肉や脂肪の腫れを評価

OCT検査

視神経や黄斑部の評価(視力低下がある場合) 

治療

 軽症の場合

    • 点眼治療(保湿、炎症抑制)
    • 睡眠時に頭を高くしてむくみを減らす
    • 禁煙(とても重要!)

中等症以上

治療

内容

ステロイド治療

抗炎症作用で腫れや痛みを抑える

放射線治療(眼窩部)

炎症や腫れを抑えるために行うことも

手術治療(眼窩減圧術、斜視手術など) 

視神経障害や重度の眼球突出時に

甲状腺のコントロール

内科での甲状腺治療(抗甲状腺薬、アイソトープ、手術)と並行が重要 

患者様へのアドバイス

    • 禁煙は最重要!:喫煙者は非喫煙者に比べて眼症状が悪化しやすく、治療効果も出にくいです。
    • 早期受診・早期治療が大切:特に複視や視力低下は緊急性があります。
    • 目の乾燥ケア:人工涙液、就寝時のアイシールド使用も効果的です。

甲状腺眼症と眼科の連携

  • 内分泌内科+眼科の連携が重要です。
  • 甲状腺の状態が落ち着いても眼症状が残る場合があるため、継続的な眼科の診察が必要になります。

まとめ

ポイント

内容

病名

甲状腺眼症(バセドウ病の目の症状)

主な症状

眼球突出、まぶたの腫れ、複視、視力低下

治療

ステロイド、放射線、手術、涙のケアなど

重症化リスク 

喫煙者、治療の遅れ、甲状腺コントロール不良 

重要なこと

早期発見と専門医による連携管理がカギ