緑内障とは?

2025.08.08

緑内障は、視神経がゆっくりと傷んでいく病気です。
傷んだ視神経は元に戻らず、放っておくと視野(見える範囲)が徐々に狭くなり、最終的には失明に至ることもあります。
日本では、40歳以上の約20人に1人が緑内障と言われており、失明原因の第1位です。

緑内障の原因

主な原因は「眼圧(目の中の圧力)による視神経へのダメージ」です。
ただし、眼圧が正常でも緑内障になる「正常眼圧緑内障」が日本人に特に多く、全体の7~8割を占めます。

 種類と分類

分類

特徴

原発開放隅角緑内障(POAG) 

もっとも多いタイプ。徐々に進行。

正常眼圧緑内障(NTG)

眼圧は正常だが視神経が傷む。日本人に多い。

閉塞隅角緑内障(PACG)

房水の流れが急に悪くなり、急激に眼圧が上がる。緊急治療が必要なことも。 

続発緑内障

他の病気や薬剤(ステロイドなど)が原因。

先天緑内障

生まれつき眼の構造に異常がある。まれ。

主な症状

緑内障は初期には自覚症状がほとんどありません
進行すると以下のような症状が現れます。

    • 見える範囲が狭くなる(視野欠損)
    • 物が見えづらい・暗いところで見えにくい
    • 両目でものを見るため、進行に気づきにくい
    • 急性型(閉塞隅角緑内障)では「目の痛み・頭痛・吐き気・視力低下」などの激しい症状あり

診断に使う主な検査

検査名

説明

眼圧検査

目の中の圧力(眼圧)を測定

視神経乳頭検査 

眼底を観察して視神経の形を確認

OCT検査

網膜や視神経の断層画像を撮影(緑内障の早期発見に有効) 

視野検査

見える範囲の欠損を調べる(自覚的な検査)

治療の基本方針

緑内障の治療の目的は、これ以上視神経が傷まないように眼圧を下げることです。
一度失われた視野は元に戻りません

1. 点眼薬治療(第一選択)

薬のタイプ

作用

プロスタグランジン製剤

房水の排出を促進(第一選択) 

β遮断薬

房水の産生を抑制

炭酸脱水酵素阻害薬

房水の産生を抑制

α2作動薬

房水の産生を抑制+排出促進

Rhoキナーゼ阻害薬(例:グラルギン) 

新しい作用機序、排出促進

※ 2~3種類を併用することもあります。

2. レーザー治療(選択肢のひとつ)

    • SLT(選択的レーザー線維柱帯形成術):房水の流れを良くして眼圧を下げる。
    • 外来で短時間ででき、副作用も少ない。

3. 手術治療(進行例や点眼が効かない場合)

    • 線維柱帯切開術・切除術(トラベクレクトミー)
    • インプラント手術(iStent など)
    • 最新ではMIGS(低侵襲緑内障手術)もあり、回復が早く日帰り手術も可能。
  • 緑内障で大切なこと

    • 早期発見・早期治療が重要(視神経は再生しないため)
    • 自覚症状がないうちに進行するので、定期検診が非常に大切
    • 点眼をやめると再び進行する → 治療は一生続くことが多い
    • 視野の状態に応じて、車の運転などに注意が必要なことも

よくある質問(Q&A)

  1. どうして気づきにくいの?

    → 片方の視野が欠けても、もう片方の目でカバーしてしまうため。

  2. 失明しますか?

    → 治療せずに放置すると失明のリスクがありますが、早く見つけて治療を続ければ防ぐことができます。

  3. コンタクトや眼鏡で治りますか?

    → 緑内障は視神経の病気で、屈折矯正では治りません。

まとめ

項目

ポイント

病気の本質 

視神経が少しずつ傷み、視野が狭くなる

原因

多くは眼圧が高い、または正常でも視神経が弱い

治療

点眼で眼圧を下げる(必要に応じてレーザーや手術) 

自覚症状

初期にはほとんどなし。気づかないうちに進行

重要なこと

定期検査と継続的な治療が失明を防ぐカギ

更に詳細な情報をお知りになりたい方はこちらをご覧ください。