コンタクトの度数と視力検査の度数は違います

2025.08.26

🌸 患者さん向け

眼科で測った「視力検査の度数(メガネ用の度数)」と、コンタクトレンズの度数は同じではありませんなぜなら、メガネは目から少し離れた位置にレンズがあり、コンタクトは目に直接のるため、必要な度数が変わるからです。

特に近視や遠視が強い方では、この差が大きくなります。

よくあるご質問:「度数を教えてもらえませんか?」

よく度数についてお問い合わせをいただきますが、メガネの度数をそのままコンタクトレンズに使うことはできませんコンタクトレンズは必ず実際に装用して視力を確認した上で、適切な度数を処方する必要があります

洋服選びと同じように

コンタクトレンズは「度数」だけでなく、「サイズ(直径)」「カーブ(ベースカーブ)」などが個人に合っているかどうかが大切です。これはちょうど、洋服を買うときに「試着してみないと自分に合うか分からない」のと同じです。

また、メーカーによってサイズ感やフィット感が異なるように、コンタクトレンズも製品ごとに形状が異なるため、必ず装用テストを行ってから購入してください

👉 まとめると:

    • メガネとコンタクトの度数は同じではない
    • 必ず装用して、合った度数・サイズを確認してから購入する
    • メーカーが違えばフィット感も異なる

👩‍⚕️ 医療従事者向け解説

コンタクトレンズ(CL)度数と眼鏡度数の違い

  • 理由
    • 頂点間距離(vertex distance)の有無による。
    • GL(眼鏡)は角膜前方 約12mm にレンズが位置。
    • CL(コンタクト)は角膜に直接装用されるため頂点間距離がゼロ。
  • 結果:強度近視では CL 度数 < GL 度数、強度遠視では CL 度数 > GL 度数 となる。

  • 換算式(便宜上):
    DCL=DGL1−d⋅DGL(d≈0.012m)D_{CL} = \frac{D_{GL}}{1 – d \cdot D_{GL}} \quad (d ≈ 0.012m)DCL​=1−d⋅DGL​DGL​​(d≈0.012m)
    ※実際には装用試験による確認が必須。

臨床的注意点

  1. 度数の問い合わせについて

      • 患者から「度数だけ教えてほしい」と言われることがあるが、GL度数をそのままCL度数に転用することは不可能
      • 必ず装用試験により視力・フィッティングを確認し、適切なCL度数を処方する必要がある。
  2. フィッティングの個別性

      • CLは度数のみならず、直径(DIA)、ベースカーブ(BC)、材質、含水率などが装用感に影響。
      • 洋服に例えれば「同じサイズ表記でもブランドごとにフィット感が異なる」ようなもので、メーカー間差異が存在する。
      • 患者説明では「度数は共通の指標ではなく、必ず試着(トライアル)をしてからでないと適否は分からない」と例えると理解が得やすい。
  3. 強度屈折異常における差異

      • ±3D以下では GL と CL の度数差はほぼ無視可能。
      • しかし強度近視(例:−8D以上)では CL が GL より 0.5〜1.0D 程度弱くなることが多く、精密な度数設定が必要。
      • 遠視においても同様に差異が問題化しやすい。

まとめ

    • 度数をそのまま伝えることはできない(GL ≠ CL)。
    • 必ず装用下で処方し、フィッティングを含めて個別最適化が必要。
    • 患者説明には「洋服の試着」「メーカー間サイズの違い」を用いると理解が得やすい。