患者さん向け(やさしい説明)
引用:目医者情報
- 普通のプリズム眼鏡はレンズ自体が厚くなることがあります。それに対して、フレネル膜プリズムは、透明なシート状のプリズムを眼鏡のレンズに貼り付けるタイプです。
特徴
- とても薄いシートなので、重くならずに使えます。必要に応じて度数を簡単に変えられるので、眼の状態が安定するまでの「試しのプリズム」としてよく使われます。
メリット
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- 二重に見える(複視)症状を軽くすることができる
- 眼鏡を作り直さなくても、シートの交換で対応できる
デメリット
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- シートの細かい段差で、少し「ぼやけたり」「見え方が落ちる」ことがある
- 長期使用には不向きで、基本的には一時的・試験的な使用
医療従事者向け(専門的な解説)
定義
フレネル膜プリズム(Fresnel membrane prism)は、プラスチック製の薄いシートにプリズム面を多数刻んだもので、眼鏡レンズ表面に貼付することによって光路を偏向させる。
適応
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- 脳血管障害後の眼球運動障害に伴う複視の暫間的矯正
- 斜視術前のプリズム順応試験
- 眼位変動の大きい症例での短期的対応
特徴
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- 可変性:患者の斜視角や複視の程度に応じて度数を容易に変更可能
- 軽量性:厚み・重量の負担が少ない
- コスト効率:眼鏡を新調せずに試験的装用が可能
欠点
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- 光学的解像度低下(MTF低下、コントラスト感度低下)
- 見え方のぼやけやハロー(特に夜間視)
- 長期装用には不向きで、最終的にはプリズム眼鏡や手術的矯正に移行することが望ましい
まとめ
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- 患者さんにとっては「貼るタイプのプリズムで、二重に見えるのを一時的に減らす道具」
- 医療者にとっては「眼位や複視の補正を試験的に行うための可変性に優れたプリズムシート」