目次
患者さん向け(やさしい説明)
斜視の手術は、目の向きを動かす筋肉を調整して、両目の向きをそろえる手術です。
手術の時期
子ども
- できるだけ早い時期に行うことで、両目で物を見る力(両眼視機能)が育ちやすくなります。ただし、年齢や斜視の種類によって最適な時期は異なります。
大人
- 弱視を改善する効果はありませんが、見た目(整容的な改善)や二重に見える症状の軽減を目的に行います。
弱視のリスク
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- 子どものときに斜視を放っておくと、ずれている方の目が使われなくなり、視力が育たない(弱視)になることがあります。
- 弱視は手術だけでは治らず、眼鏡やアイパッチ治療をあわせて行う必要があります。
大人の手術(整容目的)
- 大人では視力の発達は終わっているため、弱視を治すことはできません。しかし、手術により見た目の改善(両目がそろう)や、目の疲れやすさの軽減が期待できます。
医療従事者向け(専門的な解説)
手術適応と時期
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小児斜視
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- 先天内斜視は生後6か月~2歳頃までに早期手術が望ましい(両眼視獲得のため)。
- 調節性内斜視はまず屈折矯正を行い、残余斜視があれば手術適応を検討。
- 間欠性外斜視は頻度・コントロール不良例で学童期までに手術。
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成人斜視
- 弱視改善は期待できないが、複視軽減・整容改善・眼精疲労軽減を目的に施行。
弱視のリスク
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- 小児期斜視では感受性期(~8歳前後)に抑制がかかるため、斜視弱視が形成される。
- 早期の屈折矯正・遮閉治療・必要に応じた手術により予防可能。
成人例の特徴
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- 視力発達は完成しているため弱視改善は不可。
- 手術目的は整容・社会心理的QOL改善、または複視の軽減。
- 美容的要素が強いが、対人関係や就労上のメリットが大きい。
まとめ
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- 小児では早期手術+弱視治療が重要(視力の発達と両眼視機能の獲得のため)
- 大人では弱視改善はできないが、整容や生活の質を改善するための有効な治療手段