目次
ヘルペス角膜炎とは?
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- 「単純ヘルペスウイルス(HSV-1)」が目の角膜に感染して起こる病気です。
- 一度感染すると神経の中に潜伏し、繰り返し再発します。
- 症状:目の痛み、異物感、充血、視力低下、涙目 など。
三叉神経との関係
三叉神経とは?
- 顔の感覚(目・鼻・頬・顎)を脳に伝える重要な神経です。
- 3つの枝があります。
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- 第1枝(眼枝):目・額・鼻の上
- 第2枝(上顎枝):頬・鼻の下
- 第3枝(下顎枝):あご・口のまわり
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ヘルペスウイルスは三叉神経に潜む!
- 単純ヘルペスウイルスは初感染後、三叉神経節に潜伏します(とくに第1枝=眼枝)。
- ストレスや疲労、風邪、紫外線などをきっかけに再活性化し、神経を通じて目の表面(角膜)に再発します。
- これが「ヘルペス角膜炎の再発のメカニズム」です。
ヘルペス角膜炎の分類(重要)
分類 |
部位 |
特徴 |
上皮型(最も多い) |
角膜の表面 |
樹枝状病変(樹の枝のような傷) |
実質型 |
角膜の深部 |
強い炎症、混濁、視力低下が大きい |
内皮型(角膜内皮炎) |
角膜の最も内側 |
フレア、前房炎、角膜浮腫 |
ニューロトロフィック型 |
神経の損傷 |
角膜知覚低下、傷が治らない |
ヘルペスによる「角膜知覚低下」
- 三叉神経(眼枝)にダメージが起きると、角膜の感覚が鈍くなります。
- 感覚が鈍くなると、
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- 目が痛くないのに傷がある
- 知らぬ間に角膜が悪化
- 傷がなかなか治らない(ニューロトロフィック角膜症)
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検査と診断
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- フルオレセイン染色 → 樹枝状病変の確認
- 角膜知覚の検査(針や糸、コットンで触れて反応を見る)
- OCTやスリットランプで炎症の深さを観察
治療
病型 |
主な治療 |
上皮型 |
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実質型 |
抗ウイルス点眼+ステロイド点眼(慎重に) |
内皮型 |
ステロイド点眼が中心(ウイルス増殖抑制も並行) |
ニューロトロフィック型 |
人工涙液、角膜保護、自己血清点眼など |
※重症例や再発を繰り返す場合は、経口アシクロビルを予防的に内服することもあります。
まとめ
項目 |
内容 |
原因 |
単純ヘルペスウイルス(HSV-1) |
神経との関係 |
三叉神経(眼枝)に潜伏、再発時に角膜へ |
影響 |
繰り返す再発、角膜知覚低下による治癒不良 |
治療 |
病型に応じた抗ウイルス薬・ステロイド・保護療法 |
注意点 |
感覚低下があると痛みなく重症化するため、早期発見が重要 |
豆知識(医療者向け)
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- HSVは、三叉神経節のウイルス培養やPCR検査で検出されることがあります。
- 眼帯の使用は禁忌(酸素不足で悪化)
- ステロイド使用は慎重に(ウイルス活性化のリスクあり)
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帯状疱疹とヘルペス角膜炎の関係については、帯状疱疹からヘルペス角膜炎、最悪失明するかもにまとめています。