ヘルペス角膜炎と三叉神経の関係

2025.09.01

ヘルペス角膜炎とは?

    • 単純ヘルペスウイルス(HSV-1)」が目の角膜に感染して起こる病気です。
    • 一度感染すると神経の中に潜伏し、繰り返し再発します。
    • 症状:目の痛み、異物感、充血、視力低下、涙目 など。

三叉神経との関係

三叉神経とは?

  • 顔の感覚(目・鼻・頬・顎)を脳に伝える重要な神経です。

  • 3つの枝があります。

      1. 第1枝(眼枝):目・額・鼻の上
      2. 第2枝(上顎枝):頬・鼻の下
      3. 第3枝(下顎枝):あご・口のまわり

ヘルペスウイルスは三叉神経に潜む!

  • 単純ヘルペスウイルスは初感染後、三叉神経節に潜伏します(とくに第1枝=眼枝)。

  • ストレスや疲労、風邪、紫外線などをきっかけに再活性化し、神経を通じて目の表面(角膜)に再発します。

  • これが「ヘルペス角膜炎の再発のメカニズム」です。

ヘルペス角膜炎の分類(重要)

分類

部位

特徴

上皮型(最も多い)

角膜の表面

樹枝状病変(樹の枝のような傷)

実質型

角膜の深部

強い炎症、混濁、視力低下が大きい 

内皮型(角膜内皮炎)

角膜の最も内側

フレア、前房炎、角膜浮腫

ニューロトロフィック型 

神経の損傷

角膜知覚低下、傷が治らない

ヘルペスによる「角膜知覚低下」

  • 三叉神経(眼枝)にダメージが起きると、角膜の感覚が鈍くなります。

  • 感覚が鈍くなると、

      • 目が痛くないのに傷がある
      • 知らぬ間に角膜が悪化
      • 傷がなかなか治らない(ニューロトロフィック角膜症

検査と診断

    • フルオレセイン染色 → 樹枝状病変の確認
    • 角膜知覚の検査(針や糸、コットンで触れて反応を見る)
    • OCTやスリットランプで炎症の深さを観察

治療

病型

主な治療

上皮型

抗ウイルス点眼(アシクロビルトリフルリジン

実質型

抗ウイルス点眼+ステロイド点眼(慎重に)

内皮型

ステロイド点眼が中心(ウイルス増殖抑制も並行) 

ニューロトロフィック型 

人工涙液、角膜保護、自己血清点眼など

※重症例や再発を繰り返す場合は、経口アシクロビルを予防的に内服することもあります。

まとめ

項目

内容

原因

単純ヘルペスウイルス(HSV-1)

神経との関係 

三叉神経(眼枝)に潜伏、再発時に角膜へ

影響

繰り返す再発、角膜知覚低下による治癒不良

治療

病型に応じた抗ウイルス薬・ステロイド・保護療法

注意点

感覚低下があると痛みなく重症化するため、早期発見が重要 

豆知識(医療者向け)

    • HSVは、三叉神経節のウイルス培養やPCR検査で検出されることがあります。
    • 眼帯の使用は禁忌(酸素不足で悪化)
    • ステロイド使用は慎重に(ウイルス活性化のリスクあり
  • 帯状疱疹とヘルペス角膜炎の関係については、帯状疱疹からヘルペス角膜炎、最悪失明するかもにまとめています。