「緑内障とうつむき試験(Head-down test / うつむき体位試験)」は、隅角が狭いタイプの緑内障、特に「閉塞隅角緑内障(へいそくぐうかくりょくないしょう)」や「狭隅角眼」の患者さんにおいて、発作のリスクを評価するための検査の一つです。
以下、詳しくわかりやすく解説します。
うつむき試験とは?
- 患者さんを頭を下げた姿勢(うつむき)にして、眼圧がどう変化するかを測定します。
- 通常、30分ほどうつむき姿勢をとって、その前後の眼圧を比較します。
目的:なぜやるの?
この試験は「この人は、今後、急性閉塞隅角緑内障を起こしやすいかどうか」をシミュレーション的に調べるために行います。
試験方法
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- 通常の状態でまず眼圧を測定
- 頭を下げた姿勢(例えば顔を下にして30°の傾斜でベッドに30分間)
- 再び眼圧を測定
- 前後の眼圧の変化を見る
解釈
結果 |
考えられること |
眼圧が大きく上昇した(例:+8mmHg以上) |
隅角が非常に狭く、閉塞発作を起こしやすい状態である可能性がある |
変化がない/小さい |
今すぐ発作のリスクは低い(ただし絶対安全とは言い切れない) |
※この試験で「陽性」と出た患者は、レーザー虹彩切開術(LI)や白内障手術などの予防的治療を検討します。
注意点・限界
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- あくまで補助的な試験です。
→ 隅角鏡や前眼部OCTなど他の検査と合わせて判断します。 - もともと眼圧が高い人には行わないこともあります。
- 急性緑内障発作の誘発リスクがあるため、安全に配慮して行う必要があります。
- あまり行われない施設もあります(主に大学病院や専門施設で実施)。
- あくまで補助的な試験です。
まとめ
項目 |
内容 |
名称 |
うつむき試験(head-down test) |
対象 |
狭隅角眼、閉塞隅角緑内障のリスク評価 |
方法 |
30分うつむき → 眼圧変化を測定 |
判定 |
眼圧が大きく上がればリスクあり |
意義 |
発作予防の判断材料として有用 |