緑内障と体位(特にうつむき姿勢)の関係

2025.09.06

緑内障と体位(特にうつむき姿勢)」の関係は、病状の悪化や眼圧上昇リスクに深く関わることがわかってきています。

特に、長時間のうつむき姿勢は、以下のような状況で緑内障に悪影響を及ぼすことがあります。

うつむき姿勢と眼圧の関係

一般に、うつむき姿勢では眼圧が上がりやすいです。

原因は主に以下の3つ

    1. 頭が心臓より下にくることで血流が増える
      → 目の中の血管が拡張し、圧が上がる
    2. 房水の排出が妨げられる
      → 隅角が狭い人では、房水が出にくくなる
    3. 静脈圧の上昇
      → 眼球後方の圧が上がることで、房水排出がさらに悪化

体位による眼圧変化(例)

体位

眼圧の変化

仰向け(仰臥位)

通常時より +1〜2mmHg上昇

うつ伏せ(腹臥位)

+3〜6mmHgの上昇(個人差あり) 

頭が下の姿勢(逆立ち・ヨガ) 

大幅に上昇(+10mmHg以上も)

※緑内障患者では、より強く眼圧が上がることが多いと報告されています。

特に注意が必要な状況

閉塞隅角緑内障狭隅角

  • うつむくと虹彩が前方に押し出され、隅角が閉じやすくなる

  • 房水が排出されず、急激な眼圧上昇→発作リスク

② 正常眼圧緑内障

  • 元々眼圧が正常範囲でも、夜間やうつむき姿勢で一時的に眼圧が上がり視神経にダメージを与えている可能性

③ 手術後(網膜剥離硝子体手術など)

  • 医師から「うつむき姿勢を保つように」と指示されるケースあり
     → しかし、緑内障の人にはリスクが高い

生活上の注意点

場面

注意点

睡眠

枕を高めに、横向き(健眼側を下)がおすすめ 

読書・スマホ

長時間うつむかない。時々頭を上げる

ヨガ・逆立ち

頭を下にするポーズは避ける

手術後のうつむき指示 

緑内障の既往がある場合は眼科医に必ず相談

補足:夜間眼圧と体位

    • 夜間、特に寝ている間に眼圧が上がることがあります(体位と循環の影響)。
    • 正常眼圧緑内障の進行要因の一つと考えられています。
    • 夜間体位性眼圧上昇」という概念があり、日中の眼圧が正常でも、夜間に進行してしまうケースも。

医師によるアドバイス例(患者向け)

「緑内障の方は、長時間のうつむき姿勢で眼圧が上がることがあります。読書やスマホ操作は時々休憩し、枕の高さも調整しましょう。また、うつぶせ寝やヨガの頭を下にするポーズは控えた方が安全です。」

まとめ

項目

内容

うつむき姿勢の影響 

眼圧が上がる傾向がある

リスクが高い人

閉塞隅角緑内障・正常眼圧緑内障・術後

生活上の注意

姿勢の工夫・長時間のうつむき回避・就寝体位の見直し

医療との連携

うつむき姿勢が必要な場合(手術後など)は、眼科医と相談を