「全身麻酔と閉塞隅角緑内障による失明リスク」について、わかりやすく解説します。
目次
1. 閉塞隅角緑内障とは?
- 虹彩(茶目)が房水の排出口である隅角を塞ぎ、急激に眼圧が上昇する緑内障の一種。
- 急性発作を起こすと、目の激しい痛み、視力低下、吐き気などの症状が現れ、治療が遅れると失明のリスクがある。
2. 全身麻酔と閉塞隅角緑内障の関係
全身麻酔中に起こりうること
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- 麻酔薬の種類や体位変換、薬剤の副作用によって瞳孔が散大(散瞳)することがある。
- 散瞳により虹彩が前に移動し、狭い隅角がさらに塞がれやすくなる。
- これにより急性閉塞隅角緑内障の発作が誘発されるリスクがある。
3. 失明に至るメカニズム
- 発作性に眼圧が急激に上昇すると、視神経に強いダメージを与え、短時間で視力低下や失明を引き起こすことがある。
- 麻酔中は患者が自覚症状を訴えにくく、発作の発見が遅れやすい。
4. リスクを高める要因
要因 |
説明 |
狭隅角・閉塞隅角の既往 |
もともと隅角が狭い患者 |
散瞳作用のある薬剤 |
麻酔薬、鎮静薬、抗コリン薬など |
体位変換 |
頭低位やうつむき姿勢による房水排出障害 |
長時間の手術 |
眼圧上昇が長時間続くリスク |
5. 予防策と管理
項目 |
内容 |
術前評価 |
眼科で隅角の状態を評価し、狭隅角・閉塞隅角の有無を確認 |
麻酔薬の選択 |
散瞳作用の強い薬剤は避ける、適切な薬剤選択 |
体位管理 |
頭低位など眼圧上昇リスクのある姿勢の時間を短く |
早期発見 |
麻酔中・術後の眼圧上昇や症状のモニタリング |
予防的治療 |
必要に応じてレーザー虹彩切開術など事前治療 |
6. 患者さんへの説明例
「全身麻酔を受ける際、特に隅角が狭い方は、麻酔や手術中に目の中の圧力が急に上がることがあり、失明の危険性があります。事前に眼科検査を受け、必要なら予防的な治療を行うことでリスクを減らします。」
7. まとめ
項目 |
内容 |
全身麻酔と閉塞隅角 |
麻酔薬や体位変換で急性発作誘発リスクあり |
発作の危険性 |
眼圧急上昇による視神経損傷、失明のリスク |
予防・管理 |
術前眼科評価・適切な麻酔・体位管理が必須 |