抗コリン薬と眼圧・緑内障のリスク

2025.09.10

「抗コリン薬と眼圧・緑内障のリスク」についてわかりやすく解説します。

抗コリン薬とは?

  • 抗コリン薬は、副交感神経の働きを抑制する薬で、気管支拡張剤、消化管運動抑制剤、精神神経用薬など多くの種類があります。

  • 代表的なものにイプラトロピウム、トリヘキシフェニジル、スコポラミンなどがあります。

抗コリン薬が眼に与える影響

    • 抗コリン薬は瞳孔散大(散瞳)を引き起こします。
    • 瞳孔が大きくなることで虹彩が隅角に押し寄せ、隅角が狭い人では隅角閉塞を起こしやすくなる

緑内障リスクとの関係

緑内障の種類

抗コリン薬による影響

閉塞隅角緑内障 

抗コリン薬の散瞳作用により急性閉塞発作を誘発する可能性が高い。

急激な眼圧上昇による失明リスクがあるため非常に注意が必要。

開放隅角緑内障

抗コリン薬で直接眼圧が上がることは少ないが、慎重な管理が望ましい。

具体的なリスク

    • 抗コリン薬投与後に急激な目の痛み、充血、視力低下、頭痛、吐き気があれば、急性閉塞隅角緑内障発作の可能性
    • 発作を放置すると、短時間で視神経障害・失明に至ることがある

臨床上の注意点

ポイント

対応

抗コリン薬使用前

隅角狭窄の有無を眼科で評価し、リスクを把握する

投与中

目の痛みや視力異常があれば速やかに受診を促す

緊急時

発作が疑われたら眼圧を下げる治療(点眼やレーザー)が必要

代替薬の検討

可能なら散瞳作用の少ない薬剤を選ぶ

患者さんへの説明例

「抗コリン薬は目の中の瞳孔を大きくする作用があります。目の水の流れが悪い方(特に閉塞隅角緑内障の方)は、目の圧力が急に上がる危険があります。もし目の痛みや見えにくさを感じたら、すぐに受診してください。」

まとめ

項目

内容

抗コリン薬

瞳孔を散大させる作用がある

閉塞隅角緑内障 

抗コリン薬により急性発作を起こすリスクが高い 

開放隅角緑内障

直接の悪化リスクは低いが注意は必要

予防策

眼科評価、早期発見、代替薬検討が重要