前立腺肥大と緑内障の関係

2025.09.10

「前立腺肥大と緑内障の関係」について、わかりやすく解説します。

1. 前立腺肥大(良性前立腺肥大症)とは?

    • 高齢男性に多い病気で、前立腺が大きくなり尿の出が悪くなる状態。
    • 主な症状は尿の切れが悪い、頻尿、尿閉(尿が出なくなる)など。

2. 前立腺肥大の治療薬と緑内障の関係

主な治療薬

薬剤名

作用

緑内障への影響

α1遮断薬(タムスロシンナフトピジルなど)

前立腺や尿道の筋肉を緩めて尿の流れを良くする 

眼圧への影響は少なく比較的安全

抗コリン薬(オキシブチニンプロピベリンなど) 

膀胱の過活動を抑制

瞳孔散大を起こし、狭隅角緑内障の急性発作リスクがある 

5α還元酵素阻害薬(フィナステリドなど)

前立腺を小さくする

眼圧にはほとんど影響しない

3. 前立腺肥大と緑内障の注意点

    • 狭隅角緑内障や閉塞隅角緑内障の患者さんは、抗コリン薬に注意が必要。
      抗コリン薬による散瞳で隅角が閉塞しやすくなり、急性発作を起こす可能性がある。
    • α1遮断薬は、緑内障患者でも比較的安全に使用可能。
    • 前立腺肥大の症状と緑内障の症状は異なるため、自己判断で薬を中止せず必ず医師に相談を。

4. 臨床的なポイント

ポイント

解説

前立腺肥大の薬剤選択 

緑内障の有無、タイプを確認し、抗コリン薬の使用を慎重に判断 

緑内障の種類

狭隅角の場合は特にリスクが高い

医療連携

泌尿器科と眼科で情報共有を行うことが望ましい

5. 患者さんへの説明例

「前立腺肥大の治療薬の中には、目の病気(特に緑内障)に影響を与えるものがあります。特に目の中の水の出口が狭い方は、目の圧力が急に上がることがありますので、薬を使う前に眼科での検査が必要です。」

6. まとめ

項目

内容

前立腺肥大治療薬 

抗コリン薬は狭隅角緑内障のリスクあり 

α1遮断薬

緑内障患者でも比較的安全

重要な対応

眼科検査、医師との連携、症状観察