「前立腺肥大治療薬と白内障手術の難易度の関係」について、わかりやすく解説します。
目次
1. 背景:前立腺肥大治療薬とは?
2. なぜ白内障手術の難易度が上がるのか?
主な原因は「虹彩の動きの制限(縮瞳困難)」です。
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- α1遮断薬(特にタムスロシンなどの選択的α1A遮断薬)は、虹彩の筋肉に影響を与え、瞳孔が十分に開かなくなることがある。
- この状態は「Intraoperative Floppy Iris Syndrome(IFIS、手術中虹彩萎縮症候群)」と呼ばれ、白内障手術中に虹彩がふにゃふにゃと動いて手術操作が難しくなる。
3. IFISの特徴と手術への影響
特徴 |
手術への影響 |
散瞳しにくい |
手術視野が狭くなる |
虹彩が不安定で動く |
レンズ挿入時に虹彩損傷や合併症リスクが増加 |
虹彩のけいれんや剥離 |
手術時間の延長、合併症のリスク |
4. 手術前の注意点
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- 前立腺肥大治療薬の内服歴を必ず眼科医に伝えることが重要。
- α1遮断薬を服用中、または過去に服用したことがある患者さんは、白内障手術時にIFISリスクがあると判断される。
- 手術計画や器具選択、麻酔法を工夫することでリスク軽減可能。
5. 対応策
項目 |
内容 |
術前評価 |
薬剤歴の聴取、瞳孔径の確認 |
手術手技 |
専用器具(虹彩フックや拡張リング)の使用、低流量術式の採用 |
麻酔 |
点眼麻酔や全身麻酔の工夫 |
連携 |
泌尿器科医と情報共有し、薬剤の休薬や継続を検討 |
6. 患者さんへの説明例
「前立腺肥大の薬を服用していると、白内障手術中に瞳孔が十分に開きにくく、手術がやや難しくなることがあります。しかし、眼科医はそのリスクを理解し、適切な準備と器具を使って安全に手術を行います。」
7. まとめ
項目 |
内容 |
前立腺肥大薬 |
α1遮断薬がIFISの主な原因 |
白内障手術 |
虹彩の動きが制限され、手術が難しくなる可能性 |
重要な対応 |
服用歴の報告、手術前の評価、術中の工夫 |