ICL(Implantable Collamer Lens)とは?

2025.09.13

ICL(Implantable Collamer Lens)とは?

ICLとは、「有水晶体後房型眼内レンズ(Implantable Collamer Lens)」の略で、近視や乱視などの屈折異常を矯正する眼内レンズ挿入手術です。レーシックと並ぶ視力矯正手術の一種ですが、レーシックとは大きく異なる特徴があります。

1. ICLの特徴

特徴

内容

眼内レンズを目の中に挿入 

角膜を削らず、水晶体の前に薄いレンズを挿入して視力を矯正します。

取り外し可能

将来視力の変化があっても、レンズの交換や取り外しができるのが大きな利点。 

角膜への負担が少ない

角膜の形を変えないため、角膜が薄い人でも可能なことがあります。

紫外線カット機能あり

ICLレンズにはUVカット機能が備わっています。

2. ICLが向いている人

    • 高度近視(–6D以上)
    • 角膜が薄くてレーシックに不適な人
    • ドライアイが強く、レーシック後の乾燥が心配な人
    • 将来白内障手術の予定がある可能性のある人
    • 角膜形状が不正な人(円錐角膜などは適応外も)

3. ICL手術の流れ(概要)

    1. 適応検査:角膜厚、前房深度、眼圧、眼底など精密検査
    2. 手術前処置:レーザーで虹彩に穴を開ける(眼圧上昇を防ぐため)
    3. 手術当日:点眼麻酔下でレンズを挿入(片眼10〜20分程度)
    4. 術後管理:点眼、定期的な診察、数日で日常生活可能

4. メリットとデメリット

メリット

    • 視力の質(コントラスト感度)が高い
    • ドライアイが悪化しにくい
    • レンズの交換・取り外しが可能
    • 角膜を削らない(レーシック不可の人にも対応)

デメリット・リスク

リスク

内容

白内障の誘発

レンズが水晶体に接触すると白内障になる可能性あり(特に旧モデル)

眼内炎や感染症

手術なので眼内感染リスクあり(非常に稀)

虹彩炎や炎症

挿入後に一時的な炎症が出ることがある

眼圧上昇(緑内障

レンズによる房水の流れの妨げなどで起こる可能性

5. ICLとレーシックの比較

項目

ICL

レーシック

対応できる近視

強度近視も可能

軽度〜中等度までが中心

角膜への影響

削らない

角膜を削る

元に戻せるか

レンズの取り外し可 

戻せない

ドライアイへの影響 

少ない

ドライアイを悪化させやすい 

長期安定性

非常に高い

視力変動の可能性あり

6. 保険と費用(日本)

    • 保険適用外(自由診療)
    • 両眼で60〜80万円程度が相場(施設・モデルによって差あり)
    • 最新型「EVO+ ICL(ホールICL)」は、より安全性が高いとされる

7. まとめ

内容

ポイント

ICLとは? 

目の中にレンズを入れて近視や乱視を矯正する手術 

長所

高度近視に対応、角膜に優しい、取り外し可

短所

コストが高い、白内障・緑内障リスクあり

適応

高度近視、角膜薄い人、ドライアイ体質の人

手術時期と老眼進行については、LASIKやICL手術を受ける年齢と老眼の進行をご覧ください。