ICL手術と眼内炎の関係

2025.09.18

ICL(有水晶体眼内レンズ)手術における眼内炎について、以下のように詳しく解説します。

眼内炎とは?

    • 眼球内部で起きる感染症のことで、術後合併症の中でも最も重篤なものの一つ。
    • 強い痛み、視力低下、充血、膿性の前房フレア・細胞混濁などの症状を呈します。
    • 失明につながる可能性もあるため、早急な対応が必要です。

ICL手術における眼内炎のリスク

項目

内容

手術内容

ICLは眼内に異物(レンズ)を挿入する手術であり、無菌操作が極めて重要。

感染リスク 

白内障手術と同様、ごくまれに眼内炎を発症する可能性があります(0.01%以下とされる)。 

感染源

手術器具、点眼、まつ毛、涙、結膜常在菌などから混入することがあります。

💡 ICLは前房を切開するため、白内障手術よりわずかにリスクが高いと考える医師もいますが、現在は抗菌対策の進歩により非常にまれな合併症になっています。

眼内炎の症状(ICL術後)

  • 手術後数日以内に発症することが多い(急性眼内炎)
  • 以下の症状が出たらすぐに受診をして下さい。

症状

目安

強い目の痛み

軽度の違和感とは異なる激しい痛み

急激な視力低下 

視界がかすむ、見えづらくなる

目の充血・腫れ

白目が強く赤くなったり、まぶたが腫れる 

光に対する過敏

まぶしくて目を開けられない

目やに

黄色や緑色の膿状の目やにが出る

治療法

治療

内容

抗菌薬点眼・内服

初期であればこれで対応できることも

硝子体注射(抗菌薬)

感染が進行している場合、直接眼球内に抗生物質を注射 

硝子体手術(Vitrectomy) 

重症例では硝子体の洗浄・除去手術が必要になることも

予防と安全対策

ICL手術では、以下のような感染対策が徹底されています。

項目

内容

無菌手術室

専用のクリーンルームで手術

術前の抗菌点眼

1週間前から抗菌点眼開始する施設も

まつ毛・結膜の消毒 

ポビドンヨードなどでしっかり消毒

術後管理

抗菌点眼、定期的な診察で早期発見を重視 

患者さんへの説明例

「ICL手術は非常に安全性の高い視力矯正法ですが、ごくまれに細菌が眼内に入り、『眼内炎』という重い感染症を起こすことがあります。適切な予防と早期発見で失明を防ぐことができますので、術後に強い痛みや視力低下がある場合は、すぐに受診してください。」

まとめ

項目

内容

発症頻度

極めてまれ(0.01%未満)

症状

強い目の痛み、視力低下、充血など

対応

抗菌薬、場合によって硝子体注射や手術

予防

手術室の衛生、術前術後の抗菌管理が徹底されている 

重要なこと 

異変を感じたら、すぐに眼科へ受診すること