ICL(有水晶体眼内レンズ)手術における眼内炎について、以下のように詳しく解説します。
眼内炎とは?
-
- 眼球内部で起きる感染症のことで、術後合併症の中でも最も重篤なものの一つ。
- 強い痛み、視力低下、充血、膿性の前房フレア・細胞混濁などの症状を呈します。
- 失明につながる可能性もあるため、早急な対応が必要です。
ICL手術における眼内炎のリスク
項目 |
内容 |
手術内容 |
ICLは眼内に異物(レンズ)を挿入する手術であり、無菌操作が極めて重要。 |
感染リスク |
白内障手術と同様、ごくまれに眼内炎を発症する可能性があります(0.01%以下とされる)。 |
感染源 |
手術器具、点眼、まつ毛、涙、結膜常在菌などから混入することがあります。 |
💡 ICLは前房を切開するため、白内障手術よりわずかにリスクが高いと考える医師もいますが、現在は抗菌対策の進歩により非常にまれな合併症になっています。
眼内炎の症状(ICL術後)
- 手術後数日以内に発症することが多い(急性眼内炎)
- 以下の症状が出たらすぐに受診をして下さい。
症状 |
目安 |
強い目の痛み |
軽度の違和感とは異なる激しい痛み |
急激な視力低下 |
視界がかすむ、見えづらくなる |
目の充血・腫れ |
白目が強く赤くなったり、まぶたが腫れる |
光に対する過敏 |
まぶしくて目を開けられない |
目やに |
黄色や緑色の膿状の目やにが出る |
治療法
治療 |
内容 |
抗菌薬点眼・内服 |
初期であればこれで対応できることも |
硝子体注射(抗菌薬) |
感染が進行している場合、直接眼球内に抗生物質を注射 |
重症例では硝子体の洗浄・除去手術が必要になることも |
予防と安全対策
ICL手術では、以下のような感染対策が徹底されています。
項目 |
内容 |
無菌手術室 |
専用のクリーンルームで手術 |
術前の抗菌点眼 |
1週間前から抗菌点眼開始する施設も |
まつ毛・結膜の消毒 |
ポビドンヨードなどでしっかり消毒 |
術後管理 |
抗菌点眼、定期的な診察で早期発見を重視 |
患者さんへの説明例
「ICL手術は非常に安全性の高い視力矯正法ですが、ごくまれに細菌が眼内に入り、『眼内炎』という重い感染症を起こすことがあります。適切な予防と早期発見で失明を防ぐことができますので、術後に強い痛みや視力低下がある場合は、すぐに受診してください。」
まとめ
項目 |
内容 |
発症頻度 |
極めてまれ(0.01%未満) |
症状 |
強い目の痛み、視力低下、充血など |
対応 |
抗菌薬、場合によって硝子体注射や手術 |
予防 |
手術室の衛生、術前術後の抗菌管理が徹底されている |
重要なこと |
異変を感じたら、すぐに眼科へ受診すること |