ICL(有水晶体眼内レンズ)手術は安全性の高い視力矯正手術ですが、手術である以上、一定の合併症リスクが存在します。以下に、ICL手術の代表的な合併症をわかりやすく解説します。
ICL手術の主な合併症
分類 |
合併症 |
内容 |
🔵 術直後〜早期 |
眼圧上昇 |
術後の炎症や房水流出の障害によって、一過性または持続的な眼圧上昇。緑内障発作を起こすことも。 |
前房出血 |
切開創からの軽度出血。自然に吸収されることが多い。 |
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前房炎症 |
一時的なぶどう膜炎。点眼ステロイドで治療可能なことが多い。 |
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屈折誤差(残余近視や乱視) |
レンズ度数のずれ。眼鏡や再手術で調整可能な場合もある。 |
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🔵 中期〜長期 |
白内障の進行 |
レンズが水晶体に近すぎる場合、前嚢が濁って白内障を誘発することがある(特に旧型ICL)。 |
虹彩炎(再発性ぶどう膜炎) |
慢性的な炎症が持続・再発することがある。 |
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ICLの回転・位置ずれ |
特に乱視用(トーリック)ICLでは位置のずれで乱視が再発する可能性あり。再手術で調整可能。 |
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角膜内皮細胞減少 |
長期的にICLが角膜に近すぎると内皮細胞が減少し、角膜混濁リスク。定期的な検査が重要。 |
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🔵 まれだが重篤 | 眼内炎 |
術後の感染による重篤な炎症。視力低下や失明のリスクあり(発生率は0.01%以下)。 |
緑内障(続発) |
房水の流れが障害されることで、慢性的に眼圧が高くなることがある。 |
ICL手術の安全性とリスク管理
項目 |
解説 |
安全性は高い |
経験豊富な術者によるICL手術は、視力満足度・安全性ともに非常に高い。 |
事前検査が重要 |
前房深度、角膜内皮、虹彩の状態などの適応チェックがリスク軽減の鍵。 |
定期検診が必須 |
術後1週間・1か月・3か月・6か月・1年ごとに経過観察。角膜内皮や眼圧のモニタリングが大切。 |
患者様説明文の例(クリニック用)
ICLは視力を矯正する優れた方法ですが、ごくまれに眼圧の変化や白内障、レンズの位置ずれ、感染症(眼内炎)などの合併症が起こることがあります。術後の定期検診で早期に異常を発見し、適切に対処することで、長期的な安全性を保つことができます。
まとめ
合併症 |
発生頻度 |
備考 |
白内障 |
数%(旧型ICLで多い) |
最新のホール型で大幅に減少 |
眼圧上昇 |
軽度なら一過性 |
高眼圧や緑内障に注意 |
角膜内皮障害 |
長期的リスク |
定期検査で管理可能 |
虹彩炎 |
数% |
点眼で改善することが多い |
感染症(眼内炎) |
極めて稀(0.01%以下) |
即時治療が重要 |
ご希望があれば、
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- ICL術前の合併症リスク説明書(患者配布用)
- ICL vs レーシックのリスク比較資料
なども作成可能です。お気軽にお知らせください。
- LASIKやICL手術と老眼の進行については、「LASIKやICL手術を受ける年齢と老眼の進行」で詳しく解説していますのでご覧ください。