網膜剥離とは
眼の奥にある「網膜(もうまく)」は、カメラでいうフィルムのような部分で、光を感じて脳に映像を伝える大切な神経の膜です。
この網膜が、下の層(網膜色素上皮)からはがれてしまう病気が「網膜剥離」です。
はがれた部分は血液や栄養が届かなくなり、神経細胞が短期間で死んでしまうため、早急な治療が必要です。
黄斑(中心部)まで剥がれると、回復は極めて困難
網膜の中でも、黄斑(おうはん)は「ものを見る中心」「最も大切な部分」です。
ここが剥がれてしまうと、中心視力が急激に低下し、ものが歪んで見える・中心が見えないなどの症状が出ます。
そして――
一度、黄斑が剥がれてしまうと、手術で網膜を元に戻しても、視力の回復は非常に難しくなります。
これは、黄斑部の光受容体細胞が、はがれた状態で数日〜1〜2週間のうちに不可逆的に変性してしまうためです。
そのため、治療が遅れるほど視力予後は悪化します。
失明に至るまでのスピード
剥離が網膜の周辺部にとどまるうちは、症状が軽く感じられても、放置すれば数日〜数週間で黄斑に波及します。
黄斑に達してから1〜2週間で神経が壊死し、 手術しても中心視力は戻らないことが多くなります。
数週間以上放置すると、光も感じない失明状態になることもあります。
「裂孔」を見つけた時点で治療を開始することが何より大切
網膜剥離の多くは、まず「網膜裂孔(もうまくれっこう)」=網膜にできた小さな穴から始まります。
この段階であれば、レーザー治療で進行を完全に防ぐことが可能です。
🔴 裂孔を見つけたら、すぐに治療を行うこと。
これが、失明を防ぐための最大のポイントです。
レーザー治療を数日遅らせただけでも、液体が裂孔から入り込み、あっという間に網膜がはがれてしまうことがあります。
つまり、「見つけてすぐ治療」=「失明を防ぐ最良のタイミング」です。
見逃さないための症状チェック
上記のような症状があるときは、その日のうちに眼科受診を。
時間を置かず、即日で検査・治療を行うことが視力を守る鍵になります。
まとめ
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- 網膜剥離は時間との勝負。
- 黄斑まで剥がれると回復は極めて困難。
- 裂孔のうちに発見・治療できれば、失明は防げる。
「見え方がおかしい」と感じたら、ためらわずに眼科へ。1日早い受診が、あなたの視力を守ります。
網膜剥離以外の関連疾患については、網膜・ぶどう膜の病気もあわせてご覧ください。
網膜剥離の見逃せないサインについては下記動画を参考にしてください。