オルソケラトロジーをやめた理由〜成長と生活リズムの変化が関係する〜

2025.10.24

① 効果が続かなくなった(睡眠時間の減少・生活リズムの変化)

オルソケラトロジーは「寝ている間に角膜の形を変えて視力を矯正」します。

つまり、十分な睡眠時間と毎日の装用の継続が何より大切です。

しかし、中学生・高校生になると次のような変化が起こります。

  • 部活動や塾で帰宅が遅くなる
  • スマホやタブレットの使用時間が増える
  • 夜更かし・朝型のリズムが乱れる

結果として、レンズを入れている時間が短くなり、形が安定しにくくなるのです。

例)
「以前は8時間寝ていたけど、今は5〜6時間しか寝ない」
→ 朝の視力が出ても、午後になるとぼやける・黒板が見づらい

「部活の遠征で装用できない日が続いた」
→ 数日で元の近視に戻る

このように、思春期の生活習慣の変化が、治療の継続を難しくすることがあります。

② 見え方の安定が悪くなった(角膜形状の変化・成長期の影響)

オルソケラトロジーは角膜(黒目の表面)の形を微妙に変えることで焦点を合わせます。

成長期には、角膜や眼軸(眼の長さ)も変化するため、「以前と同じレンズでは合わなくなった」「視力の戻りが早くなった」などが起こります。

例)
「1年使っていたけど、急に朝ぼやける」
→ 成長で角膜カーブが変わり、レンズがずれやすくなった

このような場合、レンズの再設計や再作製が必要になりますが、
そのたびに費用がかかるため、やめる決断をするご家庭もあります。

③目のトラブルや違和感(ドライアイ・花粉症・コンタクト負担)

成長とともに、目の環境も変化します。

  • 長時間スマホやパソコンを使う
  • 受験期のストレスで瞬きが減る
  • 花粉症が始まる

これらはドライアイアレルギー性結膜炎を引き起こし、夜の装用時に「ゴロゴロする」「痛くて眠れない」と訴えることが増えます。

例)
「春になると装用できない」「寝ている間に外れてしまう」
→ 角膜の乾燥やアレルギーでフィッティングが不安定

このような場合は、点眼や一時中止で改善を試みるものの、
症状が続けば「裸眼や眼鏡に戻る」という選択になります。

④ ケア・衛生管理の負担(特に中高生・寮生活・部活遠征)

オルソケラトロジーは、毎日の洗浄・すすぎ・保存液の交換など、ハードレンズ並みのケアが必要です。

また、清潔な環境での装用が前提です。

例)
「部活の合宿先で洗浄液を忘れた」
「寮で水道が共用なのでケアが不安」
「疲れてそのまま寝てしまった」

こうした“ちょっとした油断”が、角膜感染症のリスクにつながります。

医師が安全を最優先に「いったん中止しましょう」と判断することもあります。

⑤ コスト・費用の問題(自由診療)

オルソケラトロジーは保険適用外の治療で、初期費用は10〜20万円前後、レンズ交換・定期検査も必要です。

例)
「高校生になってから、コンタクトを使う日が減ったのに費用がもったいない」
「大学進学で一人暮らしになるから、管理が心配」

こうした現実的な事情から、高校卒業を機に中止するケースも多く見られます。

⑥ 近視抑制の限界と期待のギャップ

最近は「近視の進行を防ぎたい」という目的で始める方が増えました。

しかし、進行は遺伝や生活環境(屋外活動・スマホ時間)にも左右されます。

例)
「オルソしても、近視が少しずつ進んだ」
→ “止まる”わけではなく、“ゆるやかにする”治療だと理解されにくい

近視抑制効果を正しく説明しても、
「思ったほど効果がなかった」と感じてやめる方もいます。

⑦ やめた後のフォローアップが大切

オルソケラトロジーをやめても、

など、代替手段や生活改善で視力を守ることは可能です。

治療をやめる=失敗ではなく、「今の生活に合った方法を見直すタイミング」と考えることが大切です。

まとめ

主な理由

背景・きっかけ

よくある年齢層

睡眠時間の減少 

部活・塾で帰宅が遅い

中高生

見え方の不安定

成長による角膜形状変化 

中学生〜高校生

装用時の違和感

ドライアイ・花粉症

小6〜高校生

ケアの煩雑さ

忙しくて手入れ不足

中高生・寮生

費用面の負担

継続コスト

高校〜大学生

効果への不満

期待と現実のギャップ

保護者・学生とも 

オルソケラトロジーを続けられなくなる理由や失敗談については、 下記動画でも解説しています。