白内障の「進行度2(Ⅱ度)」とは、まだ“完全に白くなる前”ですが、見え方に明らかな変化が出てくる段階です。
以下で、医学的な観点と患者さんの体感の両面から、詳しく解説します。
白内障の進行度分類の全体像
白内障は、医学的には水晶体(レンズ)の混濁の程度と、視力低下の度合いでおおまかに4〜5段階に分けられます。
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進行度 |
見た目の状態 |
視力の目安 |
主な症状 |
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Ⅰ度(初期) |
混濁は周辺部のみ |
1.0前後 |
自覚症状ほとんどなし |
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Ⅱ度(軽〜中等度) |
混濁が中心に近づく |
0.7〜0.9 |
かすみ・まぶしさ・コントラスト低下 |
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Ⅲ度(中等度進行) |
中心部に濁り |
0.3〜0.6 |
生活に支障、夜間運転困難 |
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Ⅳ度(高度) |
水晶体全体が濁る |
0.1以下 |
明暗のみ識別 |
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Ⅴ度(成熟白内障) |
完全に白く濁る |
光覚のみ |
失明に近い状態 |
Ⅱ度白内障の眼の内部変化
水晶体は、本来は無色透明で光を屈折させ、網膜にピントを合わせる役割を持ちます。
Ⅱ度の段階になると、以下の症状が出てきます。
- 水晶体のタンパク質が変性し、濁りが中心部(核)に及び始める
- 光が散乱し、「にじみ」や「かすみ」が生じる
- 濁りの位置によって、「核白内障」「皮質白内障」「後嚢下白内障」に分かれる
それぞれのタイプで症状が少し違います。
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タイプ |
濁る場所 |
主な症状 |
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核白内障 |
レンズ中心(核) |
全体が黄色っぽく見える、近視化する |
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皮質白内障 |
周辺部から中心へ放射状に濁る |
光がまぶしい、明るい所で見づらい |
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後嚢下白内障 |
レンズの裏側中央部 |
まぶしさが強い、夜間運転が特に苦手 |
Ⅱ度白内障の具体的な症状
1️⃣ 見え方の変化
- 以前よりも全体が白っぽく、霧がかかったように見える
- 晴天の屋外や蛍光灯の下で、光がまぶしく感じる
- 夜、車のライトや信号がにじんで眩しい
- 細かい文字が読みにくく、コントラスト(黒と白の差)が弱く感じる
2️⃣ 色の見え方
- 黄色みがかって見える(核白内障に多い)
- 青色がくすんで見えるため、景色が少しくぐもって見える
3️⃣ 視力の変化
- 裸眼視力は 0.7〜0.9 程度(個人差あり)
- メガネで矯正しても「すっきり見えない」感じ
- 暗いところではさらに視力が低下しやすい
生活で感じる支障
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日常動作 |
影響の例 |
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車の運転 |
夜間・逆光でライトが眩しい、歩行者が見えにくい |
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読書・スマホ |
文字がかすむ、照明を強くしないと読みにくい |
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家事 |
小さな文字(ラベル、調味料名)が読みにくい |
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外出 |
晴天時の光が痛く感じる、サングラスが欲しくなる |
この段階での治療と管理
1️⃣ 点眼薬による進行抑制
- ピレノキシン(カタリン、カリーユニ)
- グルタチオン(タチオン)
- トシル酸スチリペントール(クララスティルなど)
これらは「白く濁るスピードを遅らせる」ための薬で、濁りを元に戻すことはできません。
2️⃣ 生活上の工夫
- 紫外線を避ける(UVカット眼鏡・サングラス)
- 糖尿病や喫煙は進行を早めるため、管理が重要
- 夜間運転や強い光の作業は控える
3️⃣ 定期検査
- 半年〜1年ごとの診察で、水晶体の濁りと視力の推移を確認
- 濁りが中心に達して視力0.6以下になると、手術の検討段階(Ⅲ度)
手術時期の目安
Ⅱ度ではまだ「経過観察」が多いですが、次のような場合は早めの手術も検討します。
- 運転免許更新で視力基準(0.7以上)に届かない
- 仕事で精密作業が必要
- 夜間まぶしさで生活の質が下がっている
まとめ
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項目 |
内容 |
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濁りの位置 |
中心部にかかり始める |
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視力 |
0.7〜0.9程度 |
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主な症状 |
かすみ、まぶしさ、コントラスト低下、色のくすみ |
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手術の必要性 |
まだ不要なことが多いが、生活に支障があれば検討 |
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治療方針 |
点眼で経過観察、紫外線対策、定期検診 |
Ⅱ度の段階では、点眼や生活習慣の見直しによって、白内障の進行スピードを遅らせられる可能性があります。
具体的な対策については、白内障を悪化させない方法はありますか?で詳しく解説しています。






















