結論から言うと、日帰りで両目を同時に手術することは物理的には可能ですが、当院(または一般的な安全基準)では、感染症のリスクおよび安全性を最優先し、「片目ずつ」時期をずらして行う手術を強く推奨しています。
なぜ「片目ずつ」が推奨されるのか?
その最大の理由は、万が一の事態から患者様の「視力」を守るためです。
1. 術後感染症(眼内炎)のリスク回避
白内障手術で最も恐ろしい合併症の一つに、細菌などが目に入る「術後眼内炎」があります。
確率は極めて低い(数千件に1件程度)ですが、ゼロではありません。
もし両目同時に手術を行い、不幸にも両目とも感染症にかかってしまった場合、最悪のケースでは両目同時に視力を失うという取り返しのつかない事態になりかねません。
片目ずつ日程(1週間程度)を空けることで、万が一最初の目に炎症が起きても、もう片方の目は無事な状態で治療に専念できるという「安全の保険」をかけることができます。
術後眼内炎の症状や緊急性については、眼内炎(がんないえん)とは?で詳しく解説しています。
2. 術後の生活の安全確保
手術直後は、瞳孔を開く薬や炎症の影響で、どうしても見え方が不安定になります。
両目同時に手術をすると、術後数時間は両目とも見えにくい状態となり、帰宅時や自宅での歩行、トイレなどで転倒するリスクが高まります。
片目ずつの手術であれば、手術をしていない方の目(または前回手術して見えるようになった目)が「頼り」となり、日常生活を比較的安全に送ることができます。
3. 見え方の質(レンズ度数)の微調整
眼内レンズの度数合わせは精密に行いますが、実際に手術をしてみると「予想よりも少し近くが見えやすい」「遠くが見えやすい」といった誤差が生じることがあります。
片目ずつ行う場合、1回目の手術結果(実際の見え方)を確認してから、2回目の目のレンズ度数を微調整することが可能です。
これにより、最終的な両目の見え方の満足度を高めることができます。
結論
「通院回数を減らしたい」「一度で終わらせたい」というご希望は十分に理解できますが、目は一生ものです。
「効率」よりも「確実な安全性」を優先し、数日から1週間程度の間隔を空けて、片目ずつ慎重に手術を行うことが、患者様にとって最善の選択であると考えています。
両目を同時に手術せず「片目ずつ」をすすめる理由として、術後しばらくは見え方に差が出る点にも注意が必要です。片目の白内障手術を終えてから、もう片方の手術までの過ごし方や注意点については、片目の白内障手術を終え、もう片方の手術が終わるまでの対応方法で詳しく解説しています。






















