LRI(Limbal Relaxing Incision: リムバル・リラクシング・インシジョン角膜輪部減張切開術)手術とは

乱視を矯正するための角膜に対する手術的アプローチですが、LRIはAK(Astigmatic Keratotomy: 乱視矯正角膜切開術)を改良した手術法であり、いくつかの重要な違いがあります。以下でそれぞれの術式の詳細、改良点、患者さんにとってのメリット・デメリットを解説します。

AK(乱視矯正角膜切開術)とは?

AKは、乱視を矯正するために、角膜の外周部に切開を加える手術です。この手術は、角膜の不均一なカーブ(特に楕円形)を改善することを目的としています。AKは、角膜の円形性を取り戻し、乱視を軽減するために使用されます。

AKの仕組み

  • 切開部位: AKは通常、角膜の外縁(リム)に縦方向または斜め方向に小さな切開を行います。これにより、角膜が「リラックス」し、角膜のカーブが改善されます。
  • 目的: 乱視が軽度から中等度の患者に対して有効です。AKの切開によって、角膜のカーブが均一になり、光が焦点を合わせやすくなります。

AKによる乱視矯正手術の実際

AKの歴史

AKは、1950年代から1960年代にかけて開発され、乱視矯正の初期の方法として使用されました。当初は、角膜の形状を変える手段としては画期的な方法でしたが、術後の結果にばらつきがあり、特に手術後の回復に時間がかかることが多かったため、限られた用途に留まっていました。

LRI(リムバル・リラクシング・インシジョン)とは?

LRIは、AKを改良した方法で、角膜の外周部に切開を加えるという点では共通していますが、手術の精度と結果が安定しやすくなるように工夫されています。LRIは、特に白内障手術と一緒に行う場合が多く、乱視と白内障の両方を同時に治療することができます。

LRIの仕組み

• 切開部位: LRIでは、AKと同様に角膜の外周(リム)に切開を加えますが、切開の位置や深さをより精密に計算し、乱視をより効果的に矯正できるようになっています。
• 目的: LRIは、AKよりも精度が高く、手術後の結果が安定しやすいという特徴があります。LRIはまた、乱視を軽減させると同時に、白内障手術で使用される眼内レンズの位置を調整することもできます。

LRIによる乱視矯正手術の実際

LRIの特徴

  • 白内障手術との併用: LRIは白内障手術と一緒に行うことが多く、これにより乱視と白内障の両方を同時に治療することができます。
  • 精度の向上: LRIは、手術に必要な角膜の切開位置や深さをより正確に計測することができ、術後の視力回復がより安定します。機器や技術の進化により、より正確に乱視を矯正できるようになりました。

LRIの歴史

LRIは、乱視を矯正するための手術として1980年代に登場しました。
乱視の原因となる角膜の歪みを軽減するため、角膜の外周部に小さな切開を加え、角膜のカーブをリラックスさせるという手法で、乱視がある患者さんにとっての新しい選択肢となりました。
詳しくはLRIの歴史を御覧ください。

AKとLRIの違い

1. 切開の位置と深さの精度

  • AKでは、切開の深さや角度が比較的目安に基づいて行われることが多かったため、結果にばらつきがありました。
  • LRIでは、手術に使用する機器や技術が進化し、角膜の外周に正確な切開を加えることができるようになったため、術後の結果が安定しやすいです。

2. 手術後の回復と安定性

  • AKでは、手術後の回復に時間がかかり、視力が安定するまでに数ヶ月かかることがありました。また、術後に予期せぬ結果(過矯正や不十分な矯正)が生じることもありました。
  • LRIは、より精密な手術を行うため、視力が安定するまでの時間が短縮され、術後の結果が予測しやすく、安定しやすくなりました。

3.  白内障手術との併用

  • AKは単独で行われることが多かったため、白内障手術と同時に行うことは一般的ではありませんでした。
  • LRIは、白内障手術と併用されることが多く、これにより乱視と白内障の両方を一度の手術で治療できるため、患者にとって非常に大きなメリットがあります。

4. 乱視の度合いに対する適応

AKは、乱視が軽度〜中等度の場合には効果的でしたが、乱視が重度の場合には効果が限定的でした。
LRIも同様に軽度〜中等度の乱視に有効ですが、トーリックレンズなどの他の方法と併用することで、より重度の乱視にも対応できる場合があります。

LRIの患者さんへのメリットとデメリット

メリットとデメリットについて解説します。また、こちらのLRIの患者さんに対するメリットとデメリットも合わせて御覧ください。

メリット

  1. 高精度で安定した結果
    LRIは、AKよりも精密な計算と手術が可能で、術後の結果がより安定しやすいです。
  2. 白内障手術との併用
    LRIは白内障手術と一緒に行うことが多く、乱視と白内障の両方を同時に治療できるため、患者にとって負担が少なく、手術回数も減らすことができます。
  3. 回復が早い
    LRIは、術後の視力回復が早く、通常数日以内に視力の改善が見られます。
  4. 非侵襲的で低リスク
    LRIは外科的な処置としては軽微であり、他の手術に比べてリスクが少ないとされています。

デメリット

  1. 乱視が重度の場合、効果が限定的
    LRIは軽度〜中等度の乱視には効果的ですが、乱視が重度の場合には十分な効果が得られないことがあります。
  2. 手術後に視力の変動があることがある
    AKよりは軽いものの、術後数ヶ月にわたって視力が安定するまでに時間がかかることがあります。
  3. 角膜に切開を加えるため、感染リスクがある
    LRIも角膜を切開するため、感染症や角膜潰瘍などのリスクが存在します。術後のケアが重要です。

まとめ

LRI(角膜輪部減張切開術)は、乱視を矯正するための手術方法であり、AK(乱視矯正角膜切開術)を改良したものです。
LRIはより正確で安定した手術結果を提供するため、特に白内障手術と併用されることが多かったです。
AKと比べて手術の精度が高く、術後の回復も速いというメリットがありますが、乱視が重度の場合には効果が限定的なことがあります。
1980年代、LRIはシンプルで短時間で行えるという点から、白内障手術と一緒に行う方法として注目されました。
しかし、近年のエキシマレーザー、トーリックIOL、多焦点眼内レンズ、ICL等、様々な技術の進歩により、AK、LRIが選択される機会は減っています。

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